精神科Q&A
【0532】障害者の職業相談の注意点は?
Q: 半年前からハローワークの障害者職業相談窓口で仕事をしている30歳代の女性です。経験も知識も持ち合わせないままに仕事をしてきてもうすぐ半年たとうとしています。最近は統合失調症の方から「おまえなんか死んでしまえ」と言われても「あら今日は調子悪そうね」と思えるようになってきました。それで、先生にお伺いしたいのですが、個人によって違いはあると思いますが精神障害者の方が就職や職場復帰するにあたって留意すべき点はどのようなことでしょうか。今のところ主治医の先生とよく相談すること、服薬管理や体調管理に気を配ること、就職にあたって障害を告知している場合は上司に十分相談すること、あまりつらくなってきたら無理しないで休職や退職も必要な時があることなどは相談時に話をしているのですが、その他に指導すべきこと、あるいは先に掲げたなかで誤りがあればご指導をお願いしたいと思います。
林: 精神障害者の方の病状がある程度よくなったとき、就職できるかどうかは大きなステップになります。適切な職に就くことができれば、さらに病状が改善することはよくあります。その意味で、あなたのような立場の方の存在はとても大きいものがあります。私がここで言うのもおかしいかもしれませんが、是非よろしくお願いいたしたいと思います。
それはそうと、あなたの書かれている対応は、すべて正しいと思います。誤りはありません。その他に指導すべきことも、特にありません。あなたのお考えの通りで十分だと思います。
蛇足かもしれませんが、ひとつだけ私からのアドバイスを申しますと、真面目にやりすぎないことが、長く続けていただくためには大切だと思います。いわば軽い気持ちで、なるようにしかならない、というくらいの意識でしていただいたほうがいいと思います。いくら正しい対応をしても、相手のあることですし(相手というのはもちろん精神障害者自身だけでなく、雇用者のほうも指しています)、全く裏目に出ることもあるでしょう。そういうときに、あまり責任を感じすぎないようにお願いいたします。
このアドバイスは、ひとつ間違うといい加減な仕事をすすめているともとられ危険な点もあるかと思いますが、精神障害者にかかわる仕事に就いている人の中に、あまりに真面目・誠実すぎるために自信を失ってやめていかれる人も多いので、あえてこのようなことを申し上げました。誠実な方は当然ながら障害者の方にとって非常に頼りになるのですが、そのためにかえって仕事が続かないことになると、結局はせっかくの貴重な人材が精神障害者のために長く仕事をしていただけないことになって、残念な思いをすることがよくあるのです。