精神科Q&A
精神保健福祉法第23条とは、
「精神障害又はその疑いのある者を知った者は、誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる」
というものです。
ただし、その申請のためには、(1) 申請者の住所 (2) 本人の現在場所、居住地、氏名、性別及び生年月日 (3) 症状の概要 (4) 現に本人の保護の任に当たっている者があるときはその者の住所及び氏名 も提出しなければならないという規定がありますので、かなり煩雑といえば煩雑です。
ですから、まずは警察に連絡して、警察官からの通報を求めるほうが現実的だと思います。警察官の場合は、この第23条に加えて、
精神保健福祉法第24条
警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。
という条文があります。第23条は、「・・・申請することができる」であるのに対し、この第24条は、「・・・しなければならない」ですから、警察官の場合は通報の義務があるということになります。
ところで、23条のほうには、「精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる」という文言はなく、「精神障害又はその疑いのある」と書かれているだけですが、実際に申請される状況を考えますと、申請される本人にとっては、全く関係のない第三者から通報されて、場合によっては強制的に入院させられることになるわけですから、そう軽々しくこの法律が使えるはずはなく、事実上は「自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある」場合に限られることになります。【0527】のケースでは、他家への不法侵入などが認められることから、「自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある」と解釈できますので、23条の適応になるでしょう。
参考
● 改訂第二版 精神保健福祉法詳解 精神保健福祉研究会監修 中央法規 2002年