精神科Q&A
【0513】抗うつ剤の副作用が怖いのですが
Q: 35歳、1人暮らしの女性です。フリーライターをしています。
夜ベッドに入ってから、眠いのに朝まで眠れないという日が週に1〜2回出てくるようになったので、思い切って神経科で受診をしました。最初は寝る前にデパスとマイスリーを1錠づつ処方してもらったのですが飲んで3時間経っても眠れない時があったため、デパスとハルシオンの処方に変えてもらったところ、スッと眠れるようになり満足していたのですが、医師との会話の後、不安感や無気力感があることを指摘され、先日の受診でドグマチールも朝晩1錠ずつ飲むようにと追加処方されました。
しかし、処方してもらった日にネットでドグマチールについて調べたところ、ホルモン分泌に影響を受けたり、体重増加の副作用があるということを知り、太るのが怖くて飲めないのです。
私自身、夜にスンナリと眠れさえすればよかったので、デパスとハルシオンは続けていますが、ドグマチールはまだ1錠も飲んでいません。
自分自身、うつ病だという自覚もないのですが、やはり素直に飲むべきでしょうか。
医師にも言い出しにくくて、ドグマチールを飲んだふりをしてしまっています。
林: どんな薬にも副作用はあります。その副作用があなたに出るか出ないか、それは多くの場合、確率だけの問題です。
そして副作用の中には、恐ろしい副作用もあれば、たいして気にする必要もない副作用、あるいは副作用がもし出たらその時点で対策を考えれば十分なものもあります。
ドグマチールの乳汁分泌は、確かに頻度の高い副作用です。体重増加も比較的よくみられます。
しかし、頻度が高いといっても、出ない人のほうが多いですし、何よりも、もし出たらその時点で薬を変えればすむことです。ですから、副作用が出ないうちからドグマチールを飲まないというのは、不合理です。もし副作用をすべて恐れるのなら、他のどんな薬も飲むことはできません。どんな薬にも副作用があるからです。
ですから、あなたのとるべき行動としては、ひとつは素直に飲むこと。あるいは、乳汁分泌や体重増加を恐れていることを主治医の先生に伝え、別の薬を処方してもらうことです。乳汁分泌や体重増加の副作用がドグマチールより少ない抗うつ薬はたくさんあります。
ただし、薬を変えても、今度はほかの副作用の頻度がドグマチールに比べて高いということになることは認識しておく必要があります。
あなたがうつ病かどうか、抗うつ薬を飲む必要があるか、いただいたメールの情報からは判断できません。しかしもしうつ病だった場合には、ネットからの情報をもとに自己判断し、それを主治医に秘密にしていたら、いつまでたっても治る見込みはありません。