精神科Q&A

【0503】病院長が激高して職員を怒鳴りまくってます


Q:   私は地方の病院で事務長をしております、相談にのっていただきたいのは当院の院長、68歳男性のことです。院長はうつ病歴があり、私の知る限り2, 3年ごとに発病していたようです。さらに糖尿病もあります。長距離の移動は車椅子を使用しております。
現在は入院患者を週に3度回診するくらいで、外来の患者さんは診察はしておりません。
 その院長が、1年くらい前から急に激高しやすくなりました。
 最初は自分のところに通ってくる、保険会社の営業マンを院長室に呼び出して院内中に響き渡るほど、大きな声で怒鳴りつけておりました。
 しかし、まだ自分の損益のことでしたので、職員も静視していたのですが、そのうちに製薬会社の営業マンを怒鳴りつけたり、薬剤のことで厚生労働大臣に批判の手紙を送りつけたりするようになりました。
 今年の年頭の挨拶の中では、職員全員の前で、ある職員を名指しで怒鳴りつけました。
 今月、学術発表会があり、院長は発表したのですが、自分の演題より、先に発表した若い研究者を批判してばかりでした。
 また、自分の研究課題の集大成をするといって本の執筆に夢中です。
 うつの時は「死にたい、死にたい」を連発するのですが、今は「うつ」の状態は全くありません。
 最近、激高がますますエスカレートしてきています。
 つい先日も、30年間信頼の厚かった、看護婦長を部下のちょっとしたミスのことで怒鳴りつけたり、外来患者さんがたくさんロビーにいる時にも特定の職員を大声で怒鳴りつけたりしています。
 こんなことは今までなかったと古い職員は言うのですが、うつ病以外に、何か精神障害が起きたのでしょうか?
 本人はおかしいという自覚は全く無く、周りがおかしいと言います。絶対に精神科の受信はしないと思います。どうしたらいいのでしょうか。


: この病院長の現在の症状は、躁状態です。うつ病歴があるとのことですが、躁うつ病だったのでしょう。過去に躁状態の既往があったのか、今回が初めての躁状態だったのかは不明ですが、ずっとうつ病として治療されてきて、高齢になって初めて躁状態が現れて躁うつ病だったとわかることも時々あることです。
もうひとつの可能性は、この方が躁状態になる前に脳に何らかの病変が生じたというこです。脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)が原因で躁状態になることは、頻度としては低いですが、68歳という年齢を考えると可能性としては無視できないでしょう。これはMRIかCTで診断することになります。
 いずれにせよ、病院長という地位もある方が躁状態になると、まわりの方への影響は甚大で、早く治療をしないと後では修復できないような被害が次々と出てきてしまいます。そしてそうなった場合、躁状態がおさまった後の後悔や自責感が非常に強くなり、重いうつ状態に陥ることもよくあることです。
 ここまで激しい躁状態になると、治療を受けること自体が難しいことはよくわかりますが、これまでうつ病の治療を受けていた医師に薬を調整していただく以外にないでしょう。場合によっては強制的な治療も必要になるかもしれません。


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