精神科Q&A
【0483】薬を飲んでいるのに、監視されている感じがします。ということは本当に監視されているということでしょうか
Q: 24歳男性、会社員です。
1年前ぐらいに、初めて医学的に「統合失調症(精神分裂病)」と診断されて投薬治療や精神療法を続けています。
周囲の人間からは、「言ってる事おかしいよ」とか、本当に奇人扱いされて、友達はいなくなってしまいました。でも、私自身は全然変だとは思っていないんです。壁中に、カメラや目が埋まっていて、24時間盗撮されていて、外にはピンクのワンピースを着た女性がずっと私を殺そうと狙っているような気がしたので、何度も訴えたのに、家族も友人も信じてはくれませんでした。
病院にかかってセロクエルを飲み始めて、カメラや女性が一時的に居なくなりましたが、また出現し、監視され続けているような感じがして、始終、緊張する毎日が続いています。
セロクエル服用中にも関わらず、こういう感じがするということは、やはり本当に監視されているということなのでしょうか。
林: あなたは監視されていません。あなたも理解されているとおり、監視されている感じをはじめとする被害妄想は、統合失調症(精神分裂病)の典型的な症状です。そしてそれを
「私自身は全然変だとは思っていないんです」
というのも、典型的なら、薬(あなたの場合はセロクエル)を飲んでその症状が消えたのも典型的です。
ところがその後、薬を飲んでいるのにもかかわらず監視されている感じがまた出てきたことから、あなたはあなたの感じが妄想ではなく現実ではないかと疑っておられます。しかし、今の「監視されている感じ」も、やはり妄想です。薬を飲んでいても、症状は多少は動揺しますので(つまり、良くなったり悪くなったりしますので)、あなたの経験されていることは、統合失調症(精神分裂病)の症状の経過として、特に例外的ではありません。今後きちんと治療を続ければ、もっと良くなると思います。