精神科Q&A
【0063】境界型人格障害の隣人への対応
先の回答の半年後に同じ方から頂いたメールです:
林先生から、置くべき距離は自分で決めるべきこと、と回答をいただき、近々転居も決まっていたので交際を絶った状態で過ごしていこうと考えていたのですが、再び電話、訪問、私の外出する時間を見計らっての待ちぷせが続き、昨年末に予定より早く転居をいたしました。その間、保健所、警察等へ相談もいたしましたが、彼女の一方的で理不尽な行動についても、また境界型人格障害という病名についても理解がありませんでした。
新聞等の報道を見る限り、文京区音羽で起きた幼児殺害事件の被告と私の知人には共通点が多くあります。普段は無口な印象の彼女が被害者の母親との関わりについては些細なことを執拗に饒舌に証言している、殺害に対する後悔はあっても心からの反省はない。私の知人も自分が殺人をしたら殺される人間の方が悪いことをしているからだ、ということを何度も口にしていました。
音羽の事件のことを本にした著名な作家が、些細なことを悪い方にばかりとらえる女性心理、というコメントをしているのを読みました。違うと思うのです。この事件に関しては未だに、被害者の母親にも落ち度があったかのような意見を持つ人がいます。起きた結果の重大さから被害者側にもそうされるような理由があっただろうとの勝手な推測、思い込みがあります。人権を尊重し、心の病を持つ人たちへの差別、偏見を無くすことは大切なことです。でもその人たちから非常な苦しみを受けている人たちは相談すべき人や助けを求める場所もわからず、悩んでいることが多いと思います。
今後も先生のこのサイトが悩んでいる人への指針となるだけでなく、さまざまな病気への理解につながるようになっていってほしいと思います。