精神科Q&A

【0458】誰か分からない人物が、泣き喚いて、別の誰かに死に物狂いで何かを訴えている、という感覚・・・これは何でしょうか


・・・続きです

なお、ドストエフスキーはてんかんだったことは有名な話です。彼の発作は90%以上が浅い眠りのときに起こっていたことも伝えられています。彼の作品「白痴」のなかの、以下の描写は、自らの体験に基づいているといわれています。

「その段階に入ると、憂愁と、精神的暗黒と、胸苦しさのまっただ中に突然、彼の脳髄が一瞬ぱっと炎を上げるように燃え上がり、あらゆる彼の生活力が想像もつかぬほどの激しさで一時にさっと緊張する。生きているのだという感じ、自意識が稲妻ほどしかつづかないこの一瞬の間に、ほとんど十倍にも増大する。叡智と感情とはこの世のものとも思われぬ光明にさっと照らし出される。あらゆる胸のざわめき、あらゆる疑惑、あらゆる不安はまるで一時に鎮まったようになり、水のように澄んだハーモニイに満ちた喜びと希望に溢れる、理性と神性に充ちた、なにか知れない崇高な平静な境地へと解き放たれる。だがこの数瞬は、このひらめきは、それとともに発作そのものがはじまる、あの決定的な一瞬の(一瞬以上であることは決してない)、ただ単なる前触れにすぎないのである。」
(ドストエフスキー全集 7 白痴 小沼文彦訳 筑摩書房 初版第5刷 昭和42年 p.226)

ドストエフスキーは、てんかん発作の前兆としてこのような体験をしたと思われます。
もちろんあなたの体験とはかなり違いますが、発作性にあるイメージに圧倒されるという意味では、共通するものがあると思います。
 


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