コタール症候群

フランスの精神科医コタールCotardが1880年に初めて記載したことから、この名があります。
症状としては一種の心気妄想ですが、
「自分には脳も神経も胸も胃も腸もない。皮膚と骨しか残っていない」
「自分は何千年も生きなければならない」
「悪霊に体を奪い去られた。だから生きている真似ごとをしているだけだ。自分には血は一滴もない」
「自分は地獄に落ちた者で、永遠に焼かれる」
というような訴えで、否定妄想とか不死妄想とも呼ばれています。
コタールの記載した例は、宗教的な色彩が強く、日本ではコタールの例にきれいに一致する訴えはまずなくて、「内臓がなくなった」「死ぬことができない、永遠に生きなければならない」というような形になります。
訴えはこのようなものなのですが、現実には自殺が多いことも知られています。
コタール症候群がうつ病圏のものか、精神分裂病圏のものかは議論のあるところですが、私はうつ病圏の症状と考えています。

参考文献
Du Delire Hypochondriaque dans une forme grave de la melancolie anxieuse 
Jules Cotard
Annales medico-psychologiques 38: 168-174, 1880.


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