精神科Q&A
【0374】玄関のガラスを体当たりで割った兄は、精神分裂病なのでしょうか
Q: 20歳女性です。22歳の兄が、一昨日、精神病院に入院しました。
症状は
・毎日通っている道に迷う。
・誰かに見張られている、と言う。
・特定の名前(友達や恋人)を繰り返しつぶやく。
・何日も寝れない。(家族にも起きててほしい、と言う)
・「今日は何日?」と何度も聞く。
・他人に向かって「お前、○○(兄自身の名前)だよなぁ!いい男だな」
と言ったりする。
夜から明け方になるにつれ、症状は悪化して、とうとう、玄関のガラスを体当たりで割り、その割ったスペースから血まみれになった顔を出して、大声で自分の名前を呼びました。
父は3針縫う怪我を負い、どうにも手がつけられなくなり、救急車を呼び、そのまま入院になりました。
病院側からははっきりとした病名は告げられていません。つい3日前までは普通だったのに・・・。
これらの症状は、林先生のHPを拝見すると、「精神分裂病」が当てはまるような気がしたのですが、どうなのでしょうか。母は自分を責め「親なのにこうなるまで気付けなかった、(兄に)償いきれない」と泣いてばかりです。病院からは「落ちつくまでは会わない方がいいでしょう」といわれています。
林: 精神分裂病(統合失調症)だと思います。お兄様の症状は、精神分裂病の中でも、支離滅裂が目立っており、若い人に多いタイプです。こうしたケースでは急に激しく興奮して、とにかくまずは入院させるしかない、という形で治療が始まることは比較的多いものです。そして、突然の精神病院の入院に対して、ご家族が動揺されないはずはなく、それはご自分あるいは他人を強く責めるという形で表れるのはむしろ自然です。
急な興奮から入院につながった場合、最初の治療は鎮静が第一ということになります。ということは、鎮静が得られるまでは治療法そのものは比較的単調です。したがって、治療の初期にはむしろご家族のサポートが重要になるのは常で、あなたのケースでは、母は自分を責め「親なのにこうなるまで気付けなかった、(兄に)償いきれない」と泣いてばかりです。
という状態のお母様のサポートが今は第一かもしれません。精神分裂病は親の育て方とは関係なく発症します。まずこの事実をしっかりと理解していただき、今後の治療への最大の協力者の一人としての役割をお母様がはたせるように進めていくことが大切です。