精神科Q&A

【0347】「心因反応」の認知行動療法と自律訓練


Q:  28歳の娘の病名は「心因反応」です。主治医に言わせると、統合失調症(精神分裂病)の傾向が強いとのことですが、今までに幻聴やとんでもない妄想を抱いたことは一度もありません。ただ、親の立場から見ると被害妄想的な考え方をするなという、感想は持っています。
現在薬物治療を続けていますが、本人の持つ「こだわり」がなかなか取れません。初めに罹った医者が誤診するほど、強迫的な行動、考え方が強いのです。(例えば、ぞろ目の数字は縁起が悪いから11日には買い物に行けない、いやな夢を見るとその日は好きなことや大事なことを決めたりはできない・・・・他にも沢山あります)
そこで、本人が薬物療法と併用して、他の治療をしてみると言います。色々ネットで調べましたが、認知行動療法と自律訓練法等がいいらしいと分ってきました。
100%良くなることは期待できないそうですが。ただ、それらを受けるための病院がとても少ないのには困っています。しかも通院でできると言う所や入院でしかやっていないと言う所等、様々です。薬物療法と併用するには何がいいのか、また入院、通院のどちらがいいのか、教えて下さいませんか?

: 現在すでに治療を受けていて、さらに別の治療を併用しようとお考えの場合、相談する相手は主治医の先生です。他の人間に相談されるのは、それが専門家であれ非専門家であれ、お勧めできません。病状を間接的にしか知らない人間からのアドバイスは、かえって混乱を招くだけで、プラスは少ないと思います。
 ここでは、あなたと娘さんがすでに主治医の先生に相談されていて、その上でさらに意見を求められていると仮定してお答えします。もし私の回答が主治医の先生と異なる場合は、私の回答は無視してください。
 まず娘さんの診断ですが、「診断名は心因反応、しかし精神分裂病 (統合失調症)の傾向が強い」と医師が述べている場合、おそらくその医師は本心では精神分裂病と診断していると思います。
 メールに書かれているような強迫的な症状は、精神分裂病の症状として矛盾はありません。他の症状がメールからは不明ですので、この症状だけで診断を予測することは出来ませんが、上記のような医師の説明と強迫的な症状をあわせれば、やはり精神分裂病なのだと思います。(もしこの強迫的な症状だけであれば、「強迫性障害(強迫神経症)」と診断されるか、または「強迫性障害、しかし精神分裂病の傾向が強い」というような説明になるでしょう。「心因反応、しかし精神分裂病 (統合失調症)の傾向が強い」と説明されているということは、この他に精神分裂病を強く疑わせる症状を医師はとらえているのだと思います。
 そこで治療ということになりますが、精神分裂病のこの時期に、認知行動療法や自律訓練法が有効という情報は誤りです。または情報の内容を誤解しています。
 ネットで調べられたとのことですので、全く誤った情報を信じてしまったという可能性もありますが、そうでないとすれば、強迫性障害についての情報が、娘さんに適していると誤解された可能性が強そうです。また、精神分裂病でも時期によっては認知行動療法の効果が期待できることもありますが、今の娘さんの時点でこれを行うのは危険もありお勧めできません。
 結論としては、最初に申し上げた通り、主治医の先生に従ってください。ネットからの雑音(つまり私の回答もそうですが)に惑わされることは、不適切な治療に走る危険を強くはらんでいます。


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