精神科Q&A
【0346】パニック障害とうつ病の彼女の奇妙な行動に困っています
Q: 私は26歳の男性ですが、ある女性の友人(24歳)が、約一年前にパニック障害とうつ病を発症しました。パニック障害の症状は、息苦しさ、窒息感、めまい、ふらつき、動悸、気が狂いそうな感じなどで、うつはだるさ、虚無感、過度な自責の念などです。発症2カ月頃をピークに自責の念や虚無感などはかなり減少したようですが、その後オーバードーズを繰り返すようになり、また最近では「自分の内臓が見たい」などといいながら自傷行為(腹を切る)を繰り返しています。「私はうつだから、なにもできないのはしょうがない」と、次第にうつを言い訳に使うようになり、また「うつは治したくないなあ、何もしなくていいからさ」等と言っています。また気分の変化が激しく、とつぜんけたたましく笑い出し、踊りだすような躁状態のときから一気に「だるい。なにもしたくない」などいい布団にもぐりこむような憂鬱状態に陥ることがよくあり、果たしてどう扱ってよいものか、困り果てています。夜中に突然呼び出されたり、それでも呼び出したことに大して激しく自責したり、かと思えばいきなり道端で寝だすなどのちょっと「うつ」とは思えない行動が目立つようになりましたが、通院中の医者では「うつ病」ということで、処方もパキシル40mg,ソラナックス0.4mg(頓服)、メイラックスなどといった具合です。僕自身も彼女のちょっとした言動や気分に振り回されて非常に疲れてしまいまい、どう接してよいものか困り果てています。 いったいどのように接すればよいのでしょうか?彼女はただの「うつ」なのでしょうか?
林: この方はうつ病ではないと思います。「とつぜんけたたましく笑い出し、踊りだすような躁状態」や、「いきなり道端で寝だす」といった常軌を逸した行動や、自傷行為の理由が「自分の内臓が見たい」というグロテスクな理由であることなどからは、もっとも可能性の高いのは精神分裂病(統合失調症)です。最初の症状がうつや強い不安であったことも、精神分裂病としては典型的です。他には、解離性障害も考えられますが。いずれにせよ、うつ病ではないでしょう。
今かかっておられる先生に、現在の症状をよくお伝えし、早く適切な治療を受けてください。飲んでいる薬は「パキシル40mg,ソラナックス0.4mg(頓服)、メイラックスなど」と書かれていますが、この「など」の中身が肝心なところで、それがわからないと何とも言えないのですが、仮にパキシル、ソラナックス、メイラックスだけであったとしたら、今の症状に適切な処方とは言えません。このままでは悪化すると思います。