精神科Q&A
【0340】軽いうつです。診察が表面だけの対話に終始していることが不満です。
Q: 21歳の女性、アルバイトです。私は軽いうつという事でこの1週間ほどアルバイトをお休みさせて頂いてます。仕事先へはうつとは言わず、ストレスから体調を崩したと伝えてあります。仕事先の人はいい人達で、体が一番だからよく休んでくださいと言ってくれました。
ですが、インターネットで名前を知り、飛び込みで診察をしてもらったお医者様がどうも表面だけの対話に終始していて薬をもらうのがやっとなのです。
特別な施設や準備がないと踏み込んだ対話や治療は難しいのでしょう。ですが、私を学生だと勘違いして「学校の友達は?」と言われたり、「学校は行っていない」と言っても休学してると勝手に解釈してしまったり、なんだかまるで見当違いの診察です。聞いていただきたいことがあったのだけれども、「悩みがあったらインターネットなんかやらないの?そこにそういうのがあるでしょうから」と下されてしまいました。
病院を出るときに、誰も私の心を聞いてくれる人はいないと思いました。なんのために決心して診察を受けたのか、分からなくなりました。
薬である程度気分が優れているのは自分で分かります。先生の出してくださった薬は効いています。でも薬で気分を科学的に持ち上げても、心の深いところの原因がそのままでは、いずれ再発してしまうのが心配です。
私は、公正な立場で、ただ私の21年間感じてきた苦しみと後悔と謝罪を聞いてもらえる場が欲しかったのです。
私の母は宗教家です。私は小さな時から心の内ではそれに精一杯抵抗しました。自分の意思を守る為抵抗しました。だれも何も言えないし助けない。母は無言で怖い。複雑な気持ちは今はもう自分でも怒りなのか悲しみなのかわかりません。心のそこに澱のように溜まっています。
カウンセリングを受けると楽になるでしょうか。一般の医療機関ではこうした話は聞いてもらえないのでしょうか。
早く健全な生活をしたいです。たまに、このサイトを見てみようと思います。辛い人がたくさんいるんだから、誰かのために私も頑張らなくちゃと思います。
林: 結論を先に申し上げますと、今かかっておられる先生の治療を続けることはあまりお勧めできません。
結論はそうなのですが、あなたのおっしゃる、「私の21年間感じてきた苦しみと後悔と謝罪を聞いてもらえる場が欲しかった」ということに対しては、果たしてそれを医療機関に求めるのが正しいかどうかは何とも言えないところです。
医療の目的は、あくまでも治すことです。患者さんの話を聞くのは、それが治療につながると判断しているという前提があります。それなしに、「苦しみと後悔と謝罪を聞く」のは、医療機関の使命ではないと思います。
ですから、治療のためには、あえて表面的な話に終始することもあり得ます。
もちろん、そうでない場合もあります。「苦しみと後悔と謝罪を聞く」ことが治療につながるケースもあるでしょう。そういう事の方が多いかもしれません。
ただ全体としては、表面的な話と、深層に迫る話のどちらがいいかはケースバイケースですので、何とも言えません。
患者さんから深層に迫る話をお聞きして、それが治療につながればいいのですが、悪化につながることも十分あり得ます。これは、精神療法やカウンセリングで最も多い副作用です。
以上のようなことが一般に言えるのですが、ただ、あなたの先生に関していえば、あなたを学生と勘違いしたままであったり、「悩みがあったらインターネットなんかやらないの?そこにそういうのがあるでしょうから」という対応はどうかと思います。こういう先生の治療を続けることは私としてはお勧めできません。(ただしこちらもご覧ください)
「一般の医療機関ではこうした話は聞いてもらえないのでしょうか」とのご質問ですが、これは医師個人の問題であって、一般の医療機関であるかどうかということとはあまり関係ないと思います。あなたがもっと良い先生にめぐり逢われることを願っております。