精神科Q&A
【0339】うつ病と診断された50歳の母が、嘘ばかりついている
Q: 50歳の母は、5年前にうつ病と診断されました。その数年前に離婚し、生活保護などをうけながら私たち兄弟を育てた事がうつの原因だと周りからや母にいわれました。それからはうつの本を購入し、何回も読み私たちに聞かせ自分に頑張らせるな、励ますなと言い、自分の趣味の為に生活費を使うようになりました。そして一番下の弟はグレてしまい、母の昼夜逆転の生活は余計酷くなり、うつも悪くなってるようで、薬を次々変えてもらっていました。そのうちに家出を繰り返すようになり、そのたびに知り合いや親兄弟にあることないこと(家にいる場所がない、私が家事をしない、言うことを聞かない、病気を分かってくれないなど)を言いふらすので私たちは周囲の人たちに説教され続けました。帰ってきても、自分で弟の友達をよんでおきながら、医者には、「弟が私が具合悪いのに連れてくる」と訴えるので、居場所を確保する為という名目で入院しました。
入院してからも、リハビリの為に家に帰ってみると医師に嘘をつき何回も電話で「外泊するから面会に来ないで」と私たちに言ってきたり(病院で彼氏ができ、退院した彼氏のうちに外泊してたらしいです)、一時退院してきた時も、家族が書く書類も私の名前を記入して自分の都合良く書く始末。強く言うと、泣き出したり怒って子供のように大声を出したりするので、何も言えずに黙ってるしかないのです。
私たちには、早く帰りたいけど先生がまだはやいって言うの、といってましたが、先生と話したら「まだ恐いから帰りたくない」と言うので・・・。とおっしゃってました。
私には本当に治りたいのか、本当にうつ病なのか疑問でしょうがありません。こんな母にどのように接すればよいのでしょうか?自分のことを1日中しゃべってる母の話を聞いてあげればよいのでしょうか?
林: お母様は、うつ病ではないと思います。
そもそも、「生活保護などをうけながら子供を育てた事がうつ病の原因になる」ことはあり得ません。もし、そのように言われ続けたことで、あなた方ごきょうだいが負い目を感じられているのだとしたら、その負い目は払拭してください。うつ病はそういうことが原因で発症する病気ではありません。
お母様は、メールの文面からは、うつ病という病名に逃避するタイプのように思えます(擬態うつ病の82ページ〜をご参照ください)。
お母様への接し方は、医学的なことよりも、現実的な人間関係、親子関係として判断するべきでしょう。うつ病の人に対する接し方として本などの書いてある方法は、お母様には適合しません。うつ病の本から得られた情報は、この際すべて忘れて、人間関係の基本に立ち帰ってお考えになるべきだと思います。