精神科Q&A

【0338】文句ばかり言っている義母は異常でしょうか。


Q:  私は22歳女です。結婚してからずっと悩んでいることがあります。それは義母のことです(60歳、後天的なもので耳が不自由、障害者・夫とは離婚・年金生活・潔癖症)。結婚してすぐに同居しました。私には不満をいうこともなかったのですが、夫(25歳)には毎日のように私への文句を言っていたようです。そのことが2階まで聞こえてきてわたしは、家を飛び出したりすることが何回かありました。でもこのようなことはどこの家庭でも多かれ、少なからずあると思います。そして私はすぐに妊娠し、産休、育休にはいると給料が減るので、食費雑費を渡していたのを下げてほしいと頼みましたが、納得してもらえませんでした。それで、すごい喧嘩になったあと冷戦が続き、義母のほうから別居という話がでました。夫は義母の性格を知っているのでそれでいいのかと何回も確認しました。義母は一人暮らしは無理(一人で買い物も行かない。電車の乗り方もしらない、読唇術ができるので障害者であることを隠そうとする、夫が買い物へ連れていく以外外へは行かない)だと私も夫も思ったのですが、結局は一人暮らしになりました。
 義母はとにかく息子(夫)に対しての執着がすごいのです。携帯電話の着信は義母に埋め尽くされていますし、最近はとらないと分かると会社にまで電話をかけてきます。その内容は緊急でもなくどうでもいいという内容のことばかりです。昨日は腕が痛いのでどうしようという内容でした。夫は医者ではありませんし、仕事中です。
夫は休みの半分(月に4回)は半日義母の買い物につきあわされます。そのときは、いつも文句、グチを聞かされるそうで、夫はあんなやつ早く死んでほしい。誰か殺してくれと泣きながら帰ってきていうくらい攻め立てるそうです。こんなふうに一人で暮らしているのも私たちのせいだと思っています。逆恨みされてます。私は義母には会ってませんし、葬式にもでるつもりないです。夫はすべきことはしているし、親孝行なほうです。結婚前はボーナスはすべて義母にあげて、休みの日は絶対買出しに連れ出され、何もかも手続き、契約などは全部夫がしていたようです。義母はどうやら文盲気味でもあるらしいです。(夫の推測です)
異常かなと思うのは
・所在がはっきりしないのに、歩いて(一時間以上かけて)住んでいるマンションを探し当て確信もないのに大声で夫の名前を叫んでいる。めちゃ怖かったです。
・耳が悪いせいか(少しは聞こえる)人の話は聞かない。また、しつこい。何回も同じことをいう。
・言うことがころころ変わる。本当に日替わりです。
・この前男が家を覗き込んでいると警察に通報。警察は人が敷地に侵入した形跡はないと。寂しさに狂言したのではと義祖父が言うと違うと否定。警察も言っていたというと(嘘だと思いますが)次の日近くの派出所に抗議しにいき保護され、家まで送りとどけられる。警察のかたは「痴呆があるのでは・・」と。
・夫の携帯に家からだととらないということが分かると、近所のお店まで行き「息子に電話してください」と頼み、他人まで迷惑をかける。2.3回あり。その内容は「電化製品を買った伝票がない。あんたが持ってるんやろう」という内容。(結局義母が持ってました)今すぐ必要なことではないはず!自分が思いたったら我慢をするということができず、前は早朝、夜中にでもTELあり。
・夫が殴ってしまうほど責める。私の母もその場にいたことがありますが、ぶってくれと言ってるのとおんなじだなと言っていました。夫は私などには暴力は振るわず、温厚でおとなしいほうなのですが・・。
・被害妄想が強く、人を信用しない。たとえ夫(息子)であっても、信用しない。息子の実印を返さない。返してというと「これでお金でも借りるんやろう」と言う。近所の人に石を投げられた。挨拶をしても無視する。など
・私の実家に暴言電話をかける。別居前はうちの母に世話になったはずなのに・・。マシンガンのごとく言いまくる。「うちの息子ばかり使わないで」など意味不明です。
・孫についても「かわいくない。見たらき違いを起こすからつれてこないで」夫の扶養にいれるのも「保険証に傷が付くからいれないで」「五体満足に生まれたの?」産まれたというと「くそっ」障害でも持って産まれてきてあんたら苦労したらいいんやということです。
・「別居婚して」「あんたと二人で暮らしたい」「週に一回泊まっていって」「あんたらが離婚してそしたら、他の人と再婚して私のそばにすんでくれたらいい」などきりがないですけど。
 私が思うには、家にばかり閉じこもり時間があまりにもありすぎ、ろくでもないことばかり考えるのだと思います。でもこれは正気の沙汰ではないと思います。完全な精神病ではないと思いますが異常の域に達しているのではないでしょうか?自分のことしか考えず、金に汚く、息子は自分の所有物と考え、何を言っても許されると思っています。今まで夫は義母の我がままを聞いていたそうです。なぜかというとうるさいから、きかないとしつこいからという理由でした。うんというまでしつこく言い続けて責めるそうです。これがひどくなるようなら絶縁し、引っ越すことも考えています。
 他に相談するとしてもおばがいますが忙しく、もう一人のおばも人の家庭崩壊がおもしろくいつもかき回して相談なんてしたらめちゃくちゃになります。同じようにうちの実家へ暴言電話かけてきます。義祖父は義母のことが嫌いなので相談してもいい顔しません。
 このままでいくと、間違えて夫が義母を殺してしまうか、また私が刺されるかもしれません。何かあったときのために証拠にいやがらせうけ日記メモも書いてます。そこまで深刻です。精神科へつれていくのもいいのですが「ばかにしてるんかー」というのに決まってますし、体は元気なので力づくも無理かなと思います。いや、もしかして病気じゃないのかもしれません。ただの性格異常?こんな人いっぱいいるのかな?とも思うのでぜひ専門医の先生からアドバイスをいただければと思いメールしました。 

: お義母様の状態は、病的だと思います。
 まず確認していただきたいのは、メールにお書きになったような内容は、昔からそうだったのか、それとも昔と今は人が変わってしまったのかということです。
もし変わってしまったのだとすれば、第一に考えられるのは、脳の器質的な疾患です。アルツハイマー病のような痴呆もその一種です。典型的なアルツハイマー病とは違うようですが、人格変化が目立つこともありますので、否定はできません。
 アルツハイマー以外にも、脳の器質的な疾患(痴呆性疾患)はたくさんあります。その中には人格変化が典型的な症状であるものもあります。
 文盲ではないか、とご主人がおっしゃっているとのことですが、文盲というからには昔からそうだったということでしょうか。もしそうなら、息子さんであるご主人がそれをご存知なかったということはないでしょう。ということは、最近になって字が読めなくなってきたということでしょうか。だとすれば、脳の器質的な疾患の可能性は非常に高いです。
 以上のような脳の器質的疾患の診断は、臨床症状に加えて、CTやMRIのような画像診断、神経心理学的な検査を併用して行われます。精神科か神経内科の受診が適切でしょう。

 一方、昔から今と同じような性格・行動パターンであった場合、話はやや複雑になります。メールに書かれているような状態であれば、通常は人格障害圏内と考えることになるでしょう。
 ただし人格障害という診断名は、色々な問題をはらんでいます。つまり、正常な人格からの著しい偏りがあることが、人格障害という診断の根本にありますが、その「著しい偏り」というのはどの程度を言うのかということに、誰もが納得できる基準を定めることは不可能なのです。ですから、そういうものは病気とみなすべきではないという考え方もあります。
 けれども、もし病気とみなさないとしたら、本人や周囲の人の苦しみの解決を誰が援助するのかという問題が生じてしまいます。概念が必ずしも明確でない「人格障害」という診断名が使われる理由の一つはここにあります。
 そういう状況ですので、人格障害かどうかという判断は、実際に診察してもなかなか難しく、従ってメールから判断するのはさらに困難です。というわけで本当はお義母様の診断は判断できないのですが、「メールの記載から判断する限り」という条件つきで回答いたしました。
 以上まとめますと、
(1) 今の状態が、昔とははっきり違うのであれば、脳の器質的障害の疑い。
(2) 昔から今のような状態であれば、人格障害圏内。
という判断になります。


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