精神科Q&A
【0335】精神分裂病(統合失調症)といわれたが、腑に落ちない
Q: 私は、医者に統合失調症(精神分裂病)といわれた28歳の男性です。
でも私は腑に落ちないのです、つまり、私は、家族が私の悪口を言っていると思っていますが、それは本当のことなんです。
でも、一年くらい前でしょうか、昼寝をすると体がびりびりしびれるようになったのです。それから昼寝をするたび過去にあった、いやな出来事が増幅して思い出されるようになりました。
たまに一人で思い出し笑いをしたり、想像して笑ったりしていますが、特にひどい被害妄想などないし、独り言を言ったりもしないし、どう考えても統合失調症には思えないのです。
最初に病院を受診した頃には、昼夜逆転があり、退行して鬱になりかかっていたといわれました。その後神経衰弱といわれましたが、病院を変わってしばらくして、一人で笑っていることが多いですが統合失調症でしょうかと問いかけたところ、そうだね、それもすぐよくなるからねといわれました。
今は不眠がひどいです。
今はデイケアに通っているのですが、今のところ安定していて作業所に通おうと思っています。私は本当に統合失調症なのでしょうか?
Q: もちろん、メールだけで診断はできません。けれども、統合失調症(精神分裂病)という病気は、ご本人が病気であるということを納得されないというのも特徴のひとつです。(これを、病識欠如といいます)
ただし、精神分裂病の方のすべてがそうであるというわけではなく、昔いわれていたよりはずっと、自分が病気であるという認識を持っている方は多いようです。けれどもそれは 「昔いわれていたよりはずっと」ということであって、やはり病識を持つことが出来ない方が多いことは事実です。また病気の時期によっても病識があったりなかったりするものです。
「私は、家族が私の悪口を言っていると思っていますが、それは本当のことなんです」とお書きになっていますが、被害妄想を持っている人は皆そのようにおっしゃいます。(あなたの場合がどうかはわかりません)
また、「一人で思い出し笑いをしたり」とお書きになっていますが、精神分裂病には「空笑」という症状(一人笑い)があります。これについてご本人はあなたのように「思い出し笑いです」と説明されることが多いものです。(あなたの場合がどうかはわかりません)
それから、「特にひどい被害妄想はない」とお書きになっていますが、被害妄想というものは、ご本人には被害妄想であるとは認識されません。認識されれば、その時点でそれは被害妄想ではありません。したがいまして、ご本人が「被害妄想はない」とおっしゃっていることは、実際に被害妄想があるかないかの判断の根拠にはなり得ません。(あなたの場合がどうかはわかりません)
経過としては、あなたのように、最初に昼夜逆転や、うつ病に似た症状が出るのは、精神分裂病としては典型的です。神経衰弱といわれることも多いものです。
以上のように、あなたの症状、経過は、精神分裂病(統合失調症)として矛盾はありません。ただし、これは矛盾はないということであって、実際のところあなたの診断がどうであるかはわかりません。主治医の先生のおっしゃることに従われるのが最善だと思います。