精神科Q&A
【0310】被害妄想がひどい50歳の母
Q: 50歳の私の母親の被害妄想がひどいため、家族でなんとか説得して数回市立病院の精神科で診察を受けさせました。本人が診察内容を話さず、薬も飲まないため(飲んだと嘘をいって捨てます)、私が主治医の先生に相談に行ったところ「妄想性神経障害(神経症?と聞き違えたかもしれません)」とのことでしたが、私自身、1年ほど前から母の状態がひどかったため「家庭の医学」や林先生のホームページで色々調べていましたが、「典型的な統合失調症(精神分裂病)」といわれている症状そのものだと思っております。
母の症状は、電話が盗聴されている、新聞に自分の悪口がかかれている、自分が出したゴミを開けて中を見られている、家宅捜索に入られる、自分は有名人だ、等理解しがたいことをいいます。それだけならまだいいのですが、そのことで警察に相談に行ったり、車の運転もままならなくなってあちこちぶつけたり、最近では知らぬ間に大金を銀行から引き出して押入に隠していたりします。止めさせようとすると逆上して「自分を殺す気か」と言ったり、さらにエスカレートした行動をとったりします。
私は実家を離れているため、母のことは父に頼むしかないのですが、症状が悪化するよりずっと以前から、母親は家族・他人をひどく攻撃する性格で、口も達者であるため、父も母に対しては反論する気力もなく、 ののしられたり泣きつかれたりして何でも言うことを聞き、本当に困った時は私に電話してくるといった状況です。また、私が急遽実家に戻ると、その時だけ聞き分けがよくなり、妄想のことも口にせず、ごく普通に振る舞います。しかし、私が帰ると元に戻って問題を起こし、病院にも行かないと言い出します。自分の行動が息子の私に知られることを嫌がり、知られたとわかると父を責め立てます。私も仕事をやめるわけにいかず、困っています。
母の病気は統合失調症(精神分裂病)ではないでしょうか。また、私が実家に帰ってついていたほうが良いのでしょうか。
林: お母様の病名としてもっとも考えられるのは統合失調症(精神分裂病)です。主治医の先生はおそらく妄想性障害とおっしゃったのではないでしょうか。どちらにしても、治療としてはあまり変わりがありません。薬物療法が中心になります。
お父様より息子であるあなたの言うことのほうに従われるとのことですので、あなたが実家に戻ってついておられることには大きな意味があると思います。そして辛抱強く薬を飲ませ続ければ、改善は期待できます。しかしお仕事の関係などでそれが困難ということであれば、入院治療を考慮するべきだと思います。