精神科Q&A
【0309】精神科に相談に行ったら、「ここは警察じゃない」と一蹴された
Q: 28歳の主婦です。一年前に、現在幼稚園の子供と同じ年の子供を持つ近所の主婦から、脅迫電話、いたずら電話、車への傷つけ、うちの子供への言葉の暴力、大家さんへうちの中傷を2週間程毎日電話したりされました。このままでは音羽の事件のようなことになるくらいの危惧をおぼえたため、園にすべてを話して接触を断ちました。私は一度にそんな事柄が起きたので、2、3週間の間に体重は3,4kg減り、夜もなかなか寝つけず身体も疲れているはずなのに、早朝に目が覚めたり(低血圧で朝は苦手なのですが)、怖くて外に出られなかったり、とにかく毎日泣いていました。
人に話を聞いてもらう時も、その事を伝える時には手足の指先がびりびりと痛いくらいに震え大変辛かったです。今でもたまにそういうことがあります。そんなことをされる原因はいくら考えても全く分かりません。こんな目に遭っているのは私だけではなく、近所の人はもちろん、幼稚園関係の人でもそういう目に遭っている人はたくさんいます。みんな私と同じように悩んでいたそうです。
その人は自分の弁護のために嘘ばかりついてます。先生のHPや「嘘をつく人たち」という本などを読む限りでは、どうも人格障害の症状にあてはまる感じがします。自分が人から悪く思われるのが死ぬ程嫌いな人です。だから、彼女のことをあまりよく知らない人には「良い人、親切な人」で社交的だと思われています。他の近所の人からは"あの人はああいう人だから"と市民権?を得ています。おそらく、いやきっと彼女のしていることは彼女の御主人は知りません。
幼稚園、警察、弁護士、大家さんに全てお話しました。警察、弁護士さんからは特にいい回答が得られるわけでもなく、却ってしんどくなりましたが、自衛策をその都度教えてもらいました。
一度、精神科に行きました。先生に話をきいてもらいたかった(彼女がおかしいと認めて欲しかった)のに、その先生は「ここは警察じゃないんだから」と一蹴し、情緒不安定だとデパスを処方されました。私は薬を飲んでも根本的な解決にならないと思ったので、薬は全く飲みませんでした。そして、それ以来病院には行ってません。
横道にかなりそれてしまいましたが、とにかく毎日怖い夢を見ています。これって、まだ身体がよくなっていないということなんでしょうか? PTSDなんでしょうか。
林: ご近所の方から大変な目に遭われて、深くお悩みのご様子、お察し申し上げます。あなたの症状は厳密にはPTSDとは異なるようですが、強いストレスに対する反応として精神的・身体的に色々な症状が出ているという点では、本質的にはかなり近いものだと思います。今でも毎日悪夢が続いているということは、やはりまだよくなっていないということだと思います。確かにあなたのケースでは薬は根本的な解決にはなりませんが、だからといってほかに根本的な解決法を探そうとしても困難ですし、なによりあなた自身に症状があるのですから、薬をお飲みになったほうがいいと思います。
それから、一度、精神科に行きました。先生に話をきいてもらいたかった(彼女がおかしいと認めて欲しかった)のに、その先生は「ここは警察じゃないんだから」と一蹴し、
とのことですが、それは当然です。病院というものは、それが精神科であれ何科であれ、受診される方ご本人のためのものですから。あなた自身が、このご近所の方のために被っているあなた自身の悩み・苦しみを何とかしてほしい、という主旨で受診されれば一蹴されるようなことはあり得ませんが、お書きになっているように、「彼女がおかしいと認めて欲しかった」という主旨では、相手にされないのは当然です。私がそのときの医師だったとしても、一蹴したでしょう。「あの人はおかしいんです」という話を聞いている暇があったら、他の患者さんの治療に時間を使います。(逆に、あなたの言うことが被害妄想であれば全く話は別になります。ですから「一蹴された」ということは、逆にあなたの話が正当であると認められたと考えるべきでしょう)
もう一度冷静になって、ご自分のために病院からしてもらえること、その他の機関からしてもらえることを整理してよくお考えになって、現実的な問題の対策を目指してください。そして、あなたが病院にしてもらえることは、やはり今の時点ではさしあたっては薬の処方だと思います。