精神科Q&A
【0286】自分が臭く思えるというような心の病気はあるのでしょうか
Q: 26歳の彼は、自分が臭いので周りに迷惑をかけている。生きていてもしょうがない、自分は特異体質だ、などといって、周りが臭くないといっても聞きません。実際彼は臭くはありません。腋臭だといって病院に行ったところ、臭いはないが、汗腺は人より多いということで手術までしました。やっと悩みがなくなり、就職もしたのですが、やっぱりくさいもう誰にも治せない。会社もやめたい、というのです。自分が臭く思えるというような心の病気はあるのでしょうか?
林: 自己臭恐怖症(自己臭症)です。自分の外見や自分から発生する何かが、他人に迷惑をかけていると思い込み悩むいう点では、対人恐怖症の一種と考えることができます。ここに含まれるのは、たとえば自分の目つきや表情がきつく、人に不快感を与えていると悩む対人恐怖。自分の外見が醜いと悩む醜形恐怖。こうした症状の人は、美容整形を希望したり、実際に手術を何回も受けることがあります。それからご質問の方のように、自分から嫌な臭いが出ていると悩む自己臭恐怖です。いずれも本質は共通と考えられます。時には妄想のレベルまで発展したり、人に会うことができなくなってしまうこともあります。ときには統合失調症(精神分裂病)の初発症状のこともあります。統合失調症 患者・家族を支えた実例集 のcase27などがその例になります。いずれにせよ、精神科治療の対象になります。