精神科Q&A
【0269】統合失調症(精神分裂病)で、いったん良くなったのですが、就職してからまた悪くなり、症状も変化してきました
Q: 28歳の男性です。20歳ぐらいのときから統合失調症(精神分裂病)の薬を飲んでいます。当初の病状はおもに幻聴でした。お店に入ったり人とすれ違ったりすると自分への悪口が聞こえて時には暴力をふるってしまうこともありました。投薬されてからは幻聴が聞こえても気にならずになりどちらかと言うと落ち着いた日々を送っていました。ですが2年ぐらい前に就職してから急速に病状が悪くなり、薬の副作用であるジスキネジアが現れだしたり、幻聴が聞こえ出し耐えられなくなったりしました。病院へ行くとしばらく仕事を休んで回復期がすぎるのをまってみては・・・。と言うことでした。そこで一旦薬の量を増やして回復をまったのですがその時、精神的にまた無理をしてしまって今度は胸のあたりが異様に苦しくなりだしました。その病院の主治医にはそれは癖だと言われ何ヶ月か我慢していたのですがどうしても我慢しきれず病院を変えて見る事にしました。その病院の先生の診断では体感幻覚(体に幻覚を感じているんだ。)という事だったのですが・・・。
現在は幻聴はまったく聞こえずにただ苦しさだけです。この様に主な病状が変わってしまうと言う事はあるのでしょうか?また副作用のジスキネジアは一生付き合っていかなければいけないのでしょうか?現在飲んでいる薬はジプレキサとアキネトンが主な薬です。以前はリスパダールとインプロメン、アキネトンでした。
薬を変えて8ヶ月ぐらい経ちますが副作用は良くなっていません。また僕は一生薬から卒業できないのでしょうか?
そして、しつこくなって申し訳ないのですが分裂病は人格がどんどんと崩壊していってしまう病気だと聞きました。僕は最終的には廃人の様になってしまうのでしょうか?
林: 統合失調症(精神分裂病)で、自覚的な中心症状が変化することはあり得ることです。しかし、幻聴や妄想は消えているようですので、全体としては症状はよくなっていると判断していいと思います。(幻聴や妄想に限っていえば、再発したときには前と同じような症状が出るのが普通です。これを履歴現象といいます)
ただし、「胸が苦しい」という症状は、必ずしも精神症状とは限りませんので、身体的な問題がないか検査を受ける必要はあるでしょう。また、単に胸が苦しいという症状は、普通は体感幻覚とはいいません。
副作用のジスキネジアについては、経過はさまざまです。長く続いたり、ときには永続することもありますが、自然に消えることもあります。残念ながらどの経過になるかを前もって予想することはできません。
また、「分裂病は人格がどんどんと崩壊していってしまう病気」というのは誤りです。確かに人格が崩壊することもありますが、そうでないこともあります。メールに書かれているような「廃人のようになってしまう」のはごくごく一部です。これも、どの人がそうなるかを前もって予想することはなかなか出来ません。