精神科Q&A
【0239】3年前から色々なことが気になっている私は統合失調症(精神分裂病)なんでしょうか
Q: 20歳男性です。三年前から人の噂を気にしたり、自転車を乗っていて誰かが後ろから追いかけてきているなど思ってしまうことがよくあります。またひどいときは、スーパーとかでおつりはどういう風にもらったらいいのかや、どういう風に歩けばいいのかなど思うときもあります。これがずっと三年間続いています。本で調べると統合失調症(精神分裂病)の症状に似ているようですが、違うような気もします。病院に行こうかと思ったこともあるのですが、気のせいだと一蹴されるのがこわくてまだ行かれずにいます。どうしたらいいでしょうか。
林: あなたは統合失調症(精神分裂病)の可能性があると思います。受診をおすすめします。
人の噂を気にする、誰かが後ろから追いかけてきている、という症状は、関係念慮といって、統合失調症の初期によく見られるものです。関係念慮というのは、「本来関係ないはずのことが自分に関係があると思ってしまう」というような意味です。これが進むと、「本来関係ないはずのことが自分に関係があると確信してしまう」ということになり、これは関係妄想といいます。「思ってしまう」と「確信してしまう」の違いは、はっきりしていることもあれば、どちらとも区別かつきにくいこともあります。精神科医でないと判断は難しいでしょう。(精神科医でも判断に苦しむこともあります)
あなたの場合は関係念慮の段階と思われますが、逆にこの程度の関係念慮は健康でもありえますので、これだけでは病気と言えるかどうかわかりません。
ただしもうひとつ、「スーパーとかでおつりはどういう風にもらったらいいのかや、どういう風に歩けばいいのかなど思うときもある」というのも、統合失調症の初期には時々ある症状です。これも、これだけでは何ともいえませんが、関係念慮とあわせると、病気の疑いを持つべきだと思います。
ですから精神科を受診すべきと思いますが、薬を飲み始めるべきかどうかはやや微妙なところです。 メールに書いてあることだけからは、しばらくは薬は飲まずに様子を見る(そのために通院は必要でしょう)だけでいいようにも思えますが、実際に診察すると本人では気づかなかったり、または気づいていても軽視していた症状が、実は診断の決め手になることもありますので、ここから先はメールだけではなんとも言えません。いずれにせよ、受診したほうがいいと思います。