精神科Q&A

【0039】 母が脳梗塞のあとで変なことを言っているのですが。


Q: 70歳の母が、3月の初めに軽い脳梗塞になりました。その後症状は安定していましたが、「看護婦さんが、皆で自分の噂話をしている」とか、幻覚症状のようなものが出て、看護婦さんの注射や医師の意見も聞けなくなった様で、二週間後に退院させられました。退院後、二日が経ちどんな様子か電話をしたところ、「家の中に近所の人が盗聴器を仕掛けてすごいことになっている」と母は言い張るのです。もちろんそんなはずはないのですが、母は耳を貸しません。こういう症状の場合、少し様子を見たほうがいいのでしょうか? 彼女の症状か少しでも軽くなるような薬やら、治療法があれば、お教え頂きたく思います。

林: 脳梗塞のあとや、手術など(脳の手術とは限りません)のあとに、一時的に幻覚や妄想が出ることは比較的よくあります。これをせん妄といいます。せん妄では、自分がどこにいるかがはっきりわからなくなったり、記憶が曖昧になったりするのが普通です。お母様の場合は、そうした症状なしに被害妄想だけが出ているようです。こういうケースはそれほど多くはありませんが、あり得ないことではありません。

通常、せん妄はせいぜい二週間もすればおさまりますので、様子を見るというのもひとつの方法です。ただし、長引いたり、あるいは妄想のために実生活上に問題が生じる場合は、薬物療法を行うべきです。少量の抗精神病薬(セレネースなど)を投与するのが普通です。

 

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