精神科Q&A
【0226】姉の病状について、「安心」がほしい
続きです
林: お姉さまの診断は統合失調症(精神分裂病)だと思います。幻聴、被害妄想、発症年齢など、かなり典型的です。服薬で症状が改善し、薬を飲まなくなって再発したというのもよくある経過です。(今から言っても仕方ないことですが、出産後は人工栄養にして、ご本人は服薬を続ければ問題なかったと思われます)。
今は確かに大変な状態のようですが、以前に薬でほぼ完全に良くなっていたようですので、服薬を再開すればまた改善することが期待できます。症状がかなり出ている状態では乳児の世話は難しいと思いますので、ある期間は入院させて確実に服薬させるという方法も考慮するべきでしょう。
最初に先生が「自律神経失調症」と告げられた理由は不明ですが、ご家族の動揺を和らげるためだったとも考えられます。メールの文面からの想像にすぎませんが、最初にお姉さまの症状を見てご家族はとても狼狽されていたのではないでしょうか。そういう場合に医師は、事実を伝えることは二の次にして、とにかく治療を優先することはよくあることです。
そのように推測しておきながら、ここで事実を回答する理由は二つあります。
第一に、メールの文面から判断すると、あなた(とご家族)は事実がわからないために混乱し、かえって不安が高まっていると思われること。
第二に、このまま事実を知らないままでは、最善のケアを受けることができないと思われること。
統合失調症(精神分裂病)という病名を直視することが、長い目で見ればご本人にもご家族にも大いにプラスになると思います。冷静な行動を取ってください。
もうひとつ付け加えますと、今後もしさらに情報を収集しようとする場合には、良くない情報が得られるというリスクを覚悟してやるべきでしょう。その覚悟がなければ、積極的に情報の収集を行うべきではありません。良い情報だけに耳を傾けて、悪い情報は否認しているようなことがあると、いっときは安心できても、どんどん誤解が深まっていくことになります。
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