精神科Q&A
【0210】 全身がしびれ、右半身が重くなり、体中のさまざまな感覚が麻痺してしまいました
Q: 22歳の学生です。一ヶ月前に不眠や微熱が続き、自律神経系の疾患だと心療内科医に診断されました。私は以前も同じような病気にかかった事があったので、針灸治療と、いただいたお薬で治療していました。しかし、ある日突然、全身がしびれ、右半身が重くなり、体中のさまざまな感覚(温感、疲労感など)が麻痺してしまいました。精神安定剤や針灸治療により脳に何らかのダメージが起きたのは明らかなのですが、検査にもうつらず、とても不安を感じています。相談した薬剤師の話によると、おそらくは脳の一部分が、麻痺、または休止状態なのだろうとおっしゃっていましたが、どのように治療したらよいのかがわからず、呆然としています。
林: その麻痺は今も続いているのでしょうか。それとも一時的なものだったのでしょうか。一時的だとしたらどのくらいの時間続いたのでしょうか。
こうした情報がないとわかりかねますが、一時的で今は元に戻っておられると仮定してお答えします。
だとすると、一番考えられるのは一過性脳虚血発作(TIAといいます)です。身体の血管のどこかでできた血栓が脳の血管を一時的に詰まらせたことによる症状です。これは後から検査しても脳には何の異常もないのが普通です。後遺症もありません。
重要な問題は原因です。精神安定剤や針灸治療により脳に何らかのダメージが起きたのは明らか
と書いておられますが、そんなことは全く明らかとはいえません。というより、そういうことはまずあり得ません。あなたの勝手な解釈にすぎないといえます。むしろ別の原因と考えるべきでしょう。つまり血栓が出来るような原因ですが、22歳というあなたの年齢で血栓が出来るということは普通は非常にまれなことです。可能性としては、心臓の病気も考えられます。(心臓の部分で血液の流れが悪くなって血栓が出来るのは心臓病ではよくあることです)。一度、全身の検査をするべきだと思います。TIAは繰り返すことも多く、またTIAになった人は統計的には将来脳梗塞を起こしやすいので、予防のためにも原因をはっきりつきとめておくことが必要です。