精神科Q&A

【0198】 知的障害者で心因反応の方への対応について


Q:  私は現在、知的障害者施設で介助指導員をしています。その中に「心因反応」と診断された方がいます。何が原因かはわかりません。年齢26歳、女性で、小学校入学時に"精神遅滞(IQ22)"と判定され、小学校3年生より特殊学級に入り、中学校卒業後から現在まで施設入所しています。
 彼女は、身の回りのことはほとんど一人でできていましたが、もともと依存心の強い方だったようです。去年の末頃から"不穏状態"が続き(発汗、硬直、他者へ襲い掛かる等)、職員の手を借りないと何もしない、という状況が続き、最終的には手足の震え、体の硬直がひどく1ヶ月ほど入院しました。病院では、専属の付き添い婦さんがおりマン・ツー・マンの看護を受けていましたが、状態が良くなったということで最近退院してきました。しかし、病院で付き添い婦さんに甘えさせてもらったせいもあるのか、何かと職員の手助けを要求します。ひどい時には、職員の近くまで歩いてきて見えるところで体が硬直し、動かなくなってしまうのです。時には手を貸しながらも、なんとか声掛けをし、自力で身の回りのことをしてもらっていますが、職員は「過度な声掛け、対応をしない。なるべく甘えさせない」という対応をしていますが、これでいいのかどうかわかりません。

: 結論としては、今とっておられる対応が最善だと思います。
 この方の現在の症状は、昔の用語でいうとヒステリー、現在の病名では転換性障害(「転換」は、けいれんを起こす「てんかん」という病名とは全く別の物です)だと思います。ごく簡単に言うと、心の状態が身体に出ているという症状で、一見すると気を引くためにわざとやっているようですが、そうではなく、無意識にそうなっているという物です(もちろん、本当に故意でないかどうかを検証する方法はありませんので、厳密には難しいですが)。そして、知的障害の方ではこうした症状が出やすいことも経験的によくわかっています。【0120】も、類似した病態です。
 対応法の決定版はありません。ただ言えることは、本人の症状に過度にかまいすぎると、かえって症状は助長されて増悪するということです。かと言って全く相手にしないと、急に症状が激しくなることも考えられます。したがいまして、適切な対応はその2つの中間ということになります。中間といってもどの程度が適切かということは、以前からみておられる職員の方々の試行錯誤で判断されるのが最も正確だと思います。ですから結論としては、今とっておられる対応が最善だと私は考えます。


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