精神科Q&A
【0197】 ステロイドで統合失調症(精神分裂病)になった?
Q: 65歳の母親は11月に、血小板減少性紫斑病で入院し、プレドニンというステロイド剤をずっと服用しています。それが原因でらしいのですが、統合失調症(精神分裂病)にかかり、精神病院に本日入院しました。
今まで精神科に行った事のなかった私達家族は、面会等が普通の病院と違うことを知らず、頑張ってねとか元気でねとかいう会話もできないまま母親と別れてしまいました。
そのあと母親のことが心配で心配でしかたありません。寂しがりやの母親のことを考えると、いきなりの別れにとまどい、自覚のない病気での入院に困惑していると思うと涙が止まりません。
林: ステロイドで統合失調症(精神分裂病)になることは決してありません。ただし、ステロイド精神病というものはあります。症状としては、躁うつ病または統合失調症(精神分裂病)によく似たものになることがあります。お母様の場合もステロイド精神病の可能性が高いと思います。薬によって起こった精神症状は、その薬を止めれば当然おさまるのですが、血小板減少性紫斑病では、ステロイドをすぐに止めたら身体症状が悪化するでしょう。命に関わることも考えられます。したがって、精神症状の原因とわかっていても、すぐに止めるわけにはいかない。これはステロイド精神病ではよくあることです。精神症状が出る程のステロイドを使うのは、身体の病気が重大である場合に限るからです。
ただでさえ血小板減少性紫斑病でご心配のところに、精神症状まで出てしまい、心配でたまらないのはお察しします。けれども、こういう時こそご家族が冷静になられることがご本人のために必要なことです。主治医の先生から病状についてよく説明を聞いて、最も適切な対応をお取りになってください。寂しがりやの母親のことを考えると、いきなりの別れにとまどい、自覚のない病気での入院に困惑していると思うと涙が止まりません。
その気持ちはわかりますが、残念ながら、泣いていても何も解決しません。