精神科Q&A

【0188】. 聴覚障害者のうつ病自覚を持つ人は、どういう形での診察を受けたら良いのですか?


Q: 24歳の女性です。最近、自分が『うつ病では?』と感じるようになり、もしそうなら早く受診して治したい気持ちがあります。
 ただ、この精神科Q&Aを拝見しました処、【0129】メールでやり取りしながら相談したいのですが(2001.12.5.) の回答の内容に、やや困惑しています。
 というのも、実は私は生まれつき聴覚障害者なんです。病院で医師とお話するのは実際難しい現状です。(過去の多数の受診でも、筆談でもやや欠けたコミュニケーションしか取れず満足した内容は少ない。)
 筆談や手話という手段もあるのでしょうが、やっぱり上手く伝わらない部分もあるし、聴覚障害という環境での、うつ病をどう説明出来たら良いのか…。(←手話出来る医師って結構稀かもしれないけれど、むしろそのお方に受診をお願いしたいな〜と思う事もしばしばです。)
 メールの方が上手く説明出来るだろうし…相談しやすい形かも、と思うんですが。

: おそらく以前筆談で医師と十分なコミュニケーションが取れなかったため、メールに期待しておられるのだと思います。そのお気持ちはわかるようにも思いますが、メールといっても結局は書いたものですので、筆談に比べて十分なコミュニケーションが取れるというのは幻想ではないでしょうか。要は方法ではなく、あなたと医師との相性に近い問題だと思います。また、手話のできる医師も、私の知っているだけでも何人もいますので、稀ということはないと思います(ただ、「手話ができる」ということを広告することは法律で禁じられていますので、知られていないだけでしょう)。いずれにせよ、直接顔を見て診療した方が、メールや電話よりもずっと質の高い診療ができます。理想的には、たとえば事前にメールでコミュニケーションをある程度とってから直接受診する、というほうがスムースなのかもしれませんが、それは将来的にはともかく、現状ではないものねだりに近いものです。メールやインターネットに過大な期待を持たず、普通に受診されることをおすすめします。

 以上はあくまでも「現状では」ということです。聴覚障害者の方、あるいは地理的に受診困難な方のためには、メールによる診療というものはあるべきだと私も思います。けれども、日本のインターネットはそこまで成熟していないと思います。つまり、メールで診療するだけの十分な経験を持った医師はまだいないか、いたとしても極めてわずかだと思います。メールと実際の人格は違うことが多いというのは常識ですので、メールで診療し、かつ、実際にその患者さんの直接の診療もする、という経験を十分積んだ医師でなければ、メール診療は不可能です。そして、そういう経験を積んだ医師はほとんどいないはずです。
 私もこうして精神科Q&Aを運営し、月に200通以上の質問メールを読んでいますが、回答が現実からの遊離してしまっているのではないかと思うこともしばしばあります。

 

【1688】中途失聴者である私の精神科での体験をお伝えしたく思います(2010.1.5.)もご参照ください

 


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