精神科Q&A
【0173】 65歳の母が、統合失調症(精神分裂病)の治療を中断して一年になるのですが、服薬を再開するべきでしょうか。
Q: 65歳の母は、数年前に統合失調症(精神分裂病)と診断され、二度、入院したことがあります。その際は警備会社の人を雇い強制的に入院させました。その後、症状もやや軽くなったため、退院して通院治療をしていましたが、一年ほど前から、病院にも行かなくなり、当然、薬も飲んでいません。ただ、症状は軽いままで、特に悪くなっている傾向はないようです。母は一貫して、自分が統合失調症(精神分裂病)だという自覚症状はないため、通院を説得するのは困難です。以前、通院していた時期には「通院しないと、もっといやがらせがひどくなるから、通院した方がいい」と説得していました。先生に相談しても、もちろん通院した方がいいが、軽い薬を処方しているだけだったので、無理につれてこなくてもいいのではないかという反応でした。しかし、最後に先生に話をうかがってから、一年近くが経ってしまいました。特に生活に支障はないのですが、このまま、放っておいてもいいものでしょうか?
私は現在海外に居住しているのですが、母と電話で時々話す感じでは、上記のように特に病状は悪化していないと感じられます。私は回復に関しては少しあきらめていて、現在の状態が維持できるならば、それでいいと考えています。正直言って、このままほうっておくことが私にとっては一番楽なのですが、そのような現実逃避によって母の病状が悪化したり、あるいは直るものが直らなくなったのでは悔やまれません。
林: 通院と服薬を再開すべきです。
いったん統合失調症(精神分裂病)と診断されても、薬を飲んで良くなった後、全く薬を飲まなくても一度も再発しない人がいることは確かです。ということは、服薬は絶対に必要というわけではないということになりますが、お母様の場合、二回入院されているとのことですので、少なくとも二回は再発している(しかも、強制的に入院を要する程の病状になっている)わけですから、今後も再発の可能性か高いと考えるのが普通です。そして再発は、少量の薬を飲みつづけることで予防できますから、このままリスクを残した形でほうっておくことには賛成できません。先生が通院しなくてもよいという理由が「軽い薬を処方しているだけなので」とおっしゃったというのは、私には納得できません(もちろんメールだけでは細かいニュアンスがわかりませんので、「無理に連れてこなくても」というところにポイントがあったのかもしれませんが)。軽い薬で再発が防止できるのですから、むしろしっかりと通院・服薬を続けるべきです。