精神科Q&A
【0028】診療以外に、保険外の「講義」を受けるように言われたのですが
・・続きです
Q: 回答ありがとうございました。その後よく思い返してみたのですが、
@ 「講義」では、患者同士話し合うということはありません。患者が各自順番に自分の悩みを言うだけです。それに対する先生からのアドバイスも何もありません。
A また、先生からの「講義」の内容は、症状の原因は母親との関係にあるということばかりで、私の症状には全く関係がありません。
B 「講義」の必要性についての説明は何もありません。質問しても、講義で聞けばわかるから、と言われるだけです。看護婦さんやケースワーカーに聞いても同じです。いくら質問しても追い返されるような感じです。
C もう通院して二ヶ月になりますが、こういう状況で、症状はよくならず、むしろ悪化しているようにも思います。まもなく仕事に復帰しなければならないのですが、とても不安です。今後どうするべきでしょうか。
林: 各自が悩みを言うだけの「言いっぱなし」という形式は、集団精神療法の技法にもあり、アドバイスなどをするよりも有効な場合があります。ですから、@については、それが先生の方針であると理解していいと思います。また、症状の原因が何であるかの判断はとても難しいもので、一見なんの関係もなさそうなことが原因である場合もあります。したがって、この先生の治療を受けるのであれば、関係ないと思っても続けるべきでしょう。講義の必要性についても、必ずしも最初からすべてを説明することがいいとは限らず、続けて聞いていくうちに理解してほしいということなのかもしれません。
ただし、すべての患者さんに対して同じ「講義」形式が有効であるとは考えられません。もし一律に同じことをしているとすれば、それは私には理解できない方法です。
いずれにせよ、カウンセリングでも集団療法でも、効果がすぐに出るものではありません。長い目で見れば、今の方法があなたの場合にも有効なのかもしれません。ですから、これからもこの先生にかかるのであれば、講義を聴き続けるべきでしょう。
ただ、少なくとも現時点では症状は良くならず、また仕事への復帰が迫っているという現実があるとのことですので、「長い目で見れば」などとは言っていられない状況なのだと思います。だとすれば、そうした現実への考慮がもしなされていないとすれば、最適な医療とは言えないでしょう。
私に言えることは以上のようなことです。これからの方針について、少しでもご参考になれば幸いです。