精神科Q&A

【0139】うつ病と診断された友人が、ソフトな対応を強要する


Q: 友人(23歳、男性)がうつ病と診断され、3ヶ月の休養をとりました。その友人が言うには、自分には一切否定的な言い方をせずにどんな場合にもソフトに接してくれというのですが、うつ病になるずいぶん前からそんな対応を私たちに求めていたので、うつ病を理由に同じことを言っているように思えてなりません。また、うつ病とは関係ないであろう自分の癖や過去の失敗までうつ病のせいにしている気がします。彼は自分がうつ病になったことで家族が大変優しくなったと喜んでいましたが、その優しさを友人にまで求めたり、病人だから優しくしてくれという態度はただのわがままや甘えと取れなくもありません。私のそういう見方は、この病気に対しての理解が足りないからなのでしょうか。友人としては今までと同じような節度を持った態度で接することが一番良いことであると思うのですが、いかがでしょうか。

: おそらくあなたの考えが正しいと思います。
 メールから判断する限り、この友人の方はうつ病とは思えません。うつ病の人は、友人に対してソフトな対応を強要したりしないものです。また、過去の失敗を病気のせいにすることもまずありません。むしろ、過去の失敗を過剰なまでに悔やんで自分を責めるというのがうつ病の人の普通のパターンです。
 この友人のような人は、最近多いと私は実感しています。これは、本人にとってよくないことであるのはもちろん、うつ病についての誤った印象をつくりだしかねないので、本物のうつ病の人にとってもよくないことだと思います。そういう問題について私は、擬態うつ病(宝島社新書)という本を書いてみました。ご一読いただければ幸いです(この本は2001年に発刊され、その後絶版となっていましたが、2007年3月に復刊されました)。
 ただし、この友人の方が本物のうつ病である可能性を完全に否定することはできません。そこまではメールからは判断できません。本物のうつ病であった場合には、上の回答は誤りになります。「おそらくあなたの考えが正しいと思います」と言ったのは、そういう意味です。


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