精神科Q&A

うつ病のために一時的にぼけてしまったように見える場合、これを仮性痴呆(またはうつ病性仮性痴呆)といいます。本当のぼけである痴呆仮性痴呆の区別は難しいのですが、目安としては以下の表のようにして区別します。

 

痴呆 (認知症) 仮性痴呆(うつ病性仮性痴呆)
 

経過・病歴

家族が能力低下に気づいていないことがよくある 家族は通常、能力低下に気づいている
徐々に生じる 短期間に生じる
発症時期はおおまかにしかわからない 発症時期がほぼ正確にわかる
症状は徐々に進行 発症後の進行は速い
精神症状の既往はまれ しばしば精神症状の既往
   

行動

認知機能低下をごく軽いと表現 認知機能低下を誇張して表現
能力低下の表現は漠然 能力低下の表現は詳細
能力低下を隠そうとする 能力低下を強調する
良くできたというができていない 失敗を誇張する
課題をやりとげようとする 簡単な課題もやる気が乏しい
メモやカレンダーに頼る メモなどに頼ろうとしない
症状に無関心 症状のつらさを強く訴える
行動能力の低下は認知機能低下と並行 行動能力は訴えほど低下していない
夜間に能力低下が顕著 夜間に能力低下が顕著なることはない
しばしば正解から少しずれた答をする しばしばわからないという答をする
新しい出来事の記憶が古い記憶より悪い 記憶力低下は新しい事と古い事の間に大差ない
課題の遂行能力低下はいつもほぼ同じ 課題の遂行能力低下は時により著しく変化