#2 うつ病 患者・家族を支えた実例集 林 公一 著 保健同人社 2009年9月
#1よりもう少しやさしい本をお求めの場合や、実例を通してうつ病という病気を知りたいという場合は、この#2をお勧めします。わかりやすさという点では、#1に優ると思います。この本で、著者の私が読者に伝えたかった最大のこと、それは
うつ病は治ります。
ということにつきます。
うつ病について、是非とも知っていただきたいのはこのことです。このことだけといってもいいかもしれません。それを一人でも多くの方に知っていただくために書いた本です。本の構成は、すべてまず実例をお示しして読者に自由に考えていただいた後、説明を呈示するという形になっています。
うつ病は治ります。それは現実です。ただし条件があります。それも現実です。「うつ病は治ります」を、条件を含めて言い換えると、
「うつ病は、適切な治療・適切な対応をすれば、治ります」
ということになります。
これを順に説明しましょう。
1. うつ病は、適切な治療・適切な対応をすれば、治ります。
そうです、まず、うつ病とは何か、これがとても重要な点です。ストレスのためにただ気分が落ち込んだ。それはうつ病ではありません。人間としての健康な反応です。うつ病の治療は効きません。ですから、まず最も大切なのは、何がうつ病で、何がうつ病でないかを知っていただくことです。そのための章が 第1章 症状 と 第5章 誤解 です。
2. うつ病は、適切な治療・適切な対応をすれば、治ります。
「適切な治療」、それが第2章 治療です。
3. うつ病は、適切な治療・適切な対応をすれば、治ります。
「適切な対応」、それが第3章 対応です。周囲の人々の対応。本人の対応法。それによって、うつ病の経過は良くも悪くもなります。
4. うつ病は、適切な治療・適切な対応をすれば、治ります。
「をすれば」、ということは、それをしなければ、治らないということを含んでいます。最悪の帰結もあり得る。その実例が第4章 暗転 です。これは、従来のうつ病の本にはあまり書かれていないものです。暗い現実だからです。見ないほうが、とりあえずは安心できる現実だからです。しかし、明るい面ばかりを示すのは現実から目をそむけることにほかなりません。適切な治療・適切な対応をしなければ、どうなるか。暗転の実例も、ぜひ見つめていただきたいと思います。
より良い治療法、診断法、予防法、などを求めて、うつ病の研究は日々進んでいます。それをご紹介するための章が、最後の第6章 展望です。うつ病の理想の治療とはどのようなものか。ただし、夢のような理想や未来像ではなく、今ここにある現実、そのほんの少し先にある現実。そこにある理想の治療を、実例を通してお示しすることにしました。
内容は、すべて現実です。明るい現実も、暗い現実もあります。26の実例を通して、うつ病の現実を見つめてください。
うつ病は治ります。
以下に章立てを示します。
第1章 症状
第2章 治療
第3章 対応
第4章 暗転
第5章 誤解
第6章 展望