図書室

 

 インターネット中毒 

キンバリー・ヤング著・小田嶋由美子訳

毎日新聞社 1998年

 


各章は次のような内容です。(章名は林による訳なので、本とは多少異なります)

1       サイバースペースの暗部

クリントン大統領は教育におけるインターネット利用を大々的に推進している(そしてもちろん日本でも推進されている)。あたかも小学生の時からインターネットに親しむことで、明るい未来が開けていくと言わんばかりの空気がある。しかし、インターネットの普及による明るい未来の裏側には、当然ながら暗部もある。そのひとつがインターネット依存症である。具体的にどういう症状があり、その結果どういう帰結になっているか。そうした実例を紹介した章である。

なおここにはインターネット依存症自己診断テストもある。

2       タイムワープ症候群

インターネットをやっていると、つい時間がたつのを忘れ、ふと気づくと何時間もたっていることが多い。あたかも時間をワープしたかのような体験である。この章ではインターネットによる時間のロスについて解説する。(当然実例も豊富。以下の章のいずれも実例は豊富であるので、いちいちここには記さないことにする)

また、この章からは回復のための方策も順次紹介されている。

3       インターネット依存症の人々

どの病気にもそれになりやすい病前性格というものがある。ここではインターネット依存症になりやすい性格や生活状況について解説する。どんな依存症でも「否認」という要素を必ず伴うものだが、インターネット依存症特有の否認についても述べている。

4       顔のないコミュニティ

インターネットの中、すなわちチャットルームや電子メールのやり取りのようなサイバースペースでは、自分は誰でもなくなり、また逆に誰にでもなれる。みんながネットでつながっているようだが、実は偽りのつながりである。そういうサイバースペースで人々が陥る特有の心理、たとえば実際の対人場面では絶対に言えないことが言えるとか、性格が変わるとかいうことについて解説する。自分以外のものになれるというのは多くの人にとって大きな快感であり、これが依存症になる要因のひとつである。

5       サイバー未亡人 --- インターネット依存症の妻たち

昔、「ゴルフ・ウィドウ(ゴルフ未亡人)」という言葉があった。休日のたびに夫がゴルフに行ってしまうため、妻が未亡人になったのも同然の思いをしているということである。ここでは夫がインターネット依存症になってしまったために「サイバー・ウィドウ」となってしまった妻たちの声を紹介・解説する。夫にインターネット依存症の徴候があるかどうかを知るチェックリストも紹介されている。

6       時限爆弾としてのテクノロジー --- 子どものインターネット依存症

子どものインターネット習得の速さは大人とは比べ物にならない。親としては、自分の子どもがインターネットに夢中になるのを見るのは複雑な気持ちである。これからの時代にインターネットが必要不可欠だとは思うものの、あまりのめりこんだら現実の人間関係を結べない人間に育ってしまうのではないかという心配もある。結局、多くの親の態度は、見て見ぬふりをするか、強く禁止するか、という両極端に分かれているのが現状である。この章では、子どものインターネット依存症の徴候の見分け方と、それに対して親が取るべき態度について解説する。

7       サイバーサークル --- 大学生のインターネット依存症

大学入学の一年目は、インターネット依存症に陥る危険の高い時期である。多くの大学では、学生は無料でインターネットに接続できるというのが第一の要因である。そのほか、コンピューターに向かっていれば周囲は勉強していると見て寛大な態度を取るとか、新しい人間関係になじめずにサイバースペースに逃避するとか、要因はたくさんある。大学自身がインターネット依存症というものに問題意識を持つことがまず必要であると訴える。

8       仕事よりネットサーフィン --- 社会人のインターネット依存症

インターネット依存症患者は職場にもいる。その見分け方、対策について述べる。いまのところ日本の職場では、テクノスレトスは問題にされてもインターネット依存症は認識されていない。そうした現状への警鐘となる章である。

9       回復のために

著者のDr. Youngは、大学の心理学講師であると同時に、インターネット依存症センター(正確にはOn-line Addictionのセンター)の創立者でもあり、多くの患者と接し、回復させた経験を持つ。その経験に基づき、回復の具体的な方策をアドバイスしている。

 

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