精神科Q&A
うつ病の脳画像所見についての論文
● うつ病の脳局所血流異常
--- うつ病期、寛解期、健常対照群の比較 ---
染矢俊幸、尾関祐二
臨床精神医学 26巻4号 523ページから532ページ 1997年
SPECTによる、うつ病の脳血流の研究です。
うつ病では、前頭葉、側頭葉、辺縁系を含む広い部位に血流以上が見られるという結果です。
● 高齢期うつ病患者の99mTc-ECD SPECTによる非侵襲的局所脳血流量の測定
寺田倫ほか
精神医学 39巻7号 735ページから742ページ 1997年
【1204】に最も関係するのはこの論文かもしれません。対象は平均年齢73.6歳のうつ病患者です。但し脳萎縮や潜在性の脳梗塞のある患者は含まれていません。脳の右より左の血流低下が認められ、特に前頭葉ではっきりした低下があるという結果です。
● うつ病の脳画像
加藤忠史
日本臨床 59巻8号 1588ページから1591ページ 2001年
SPECT、MRIを含めた、うつ病の様々な脳画像研究の結果を簡潔にまとめた論文です。血流に関してはやはり前頭葉に低下が認められるというのが一致した結論です。
但し、どの研究にもいえることですが、「うつ病」と診断された患者の中に、実は前頭側頭型認知症の初期や、小さな脳梗塞の影響によるうつが含まれている可能性も指摘されています。
● Frontal cerebral perfusion after antidepressant drug treatment versus ECT in elderly patients with major depression: a 12-month follow-up control study.
Nararro et al
Journal of Clinical Psychiatry volume 65 No. 5 May 2004
抗うつ薬あるいは電気けいれん療法によって回復したうつ病患者で、脳血流の改善も同時に示した研究論文です。