精神科Q&A

【2337】「精神病レベルのうつ病」と言われていますが、統合失調症ではないでしょうか。


Q: 30代女性です。いつも読ませていただいております。私は24歳のときに今の主治医曰く「混乱を伴う錯乱状態」で精神科通院が始まりました。夜も眠れず自分から当時通っていた大学院の保健管理センターに行きました。そこから大学病院に紹介され、就職、転職を経て3人目の主治医になります。今の主治医からは「精神病レベルのうつ病」と説明をうけ、統合失調症ではないとはっきりと言われています。その理由は長い間ドグマチールだけで安定していたからだそうです。転職して今の主治医になってから3回入院しています。すべて閉鎖病棟です。1回は自殺企図を起こし、保護室にも入りました。主治医はうつ病といいますが、私は主治医が本当のことを隠しているように思えて、自分の病気はなんなのか知りたいのです。 気になることを書きます。・それまで学級委員などをやるくらい活発だったのが、中学2年のころから担任が「元気がないけどどうしたの?」と声をかけるほどになったこと。・自分が元気がないという自覚が全くなかったということ。・夜、頭の中にいる人と毎日のように会話していた。・当然成績も下がった。・1回目の転院で、いわゆる陰性症状に効く薬をかたっぱしから試したが、どれもイマイチだったといわれたこと。・2回目の入院では、頭の中に「死ね死ね」と繰り返し言われ、車を運転しながら赤信号に突っ込めば気が済むのかと思ったこと。・1年前の悪化では、自分がどうなっているのかという自覚がなく、主治医が止める中、仕事に行くといい、「普通の状態じゃない」と言われたこと。・その回復後、幻覚・妄想があったと主治医に言われたこと。その時、統合失調症に一番近かったねとも言われたこと。・落ち着かなくなると、自分の病気がなんなのか気になって仕方がなくなり、仕事に行くこともできなくなってしまうこと。・2度目の入院では統合失調症(疑い)と診断されたこと。・一人で家にいると、風の音、木の葉の揺れる音が耳の中を突き刺し、身動きが取れなくなります。固まってしまうのです。 本当の病気は統合失調症の破瓜型ではないかと自分では疑っています。気になると落ち着かなくなります。私の病気はいつから始まり何の病気なのでしょうか?誰が何の病気だと言ってくれても、どれもしっくりこないような気がします。くすりはずっと飲み続けなければならないのでしょうか?薬は夜眠れないと困るので、朝と夜と寝る前だけはとりあえず飲んでいます。今は、お昼のくすりを眠くなるからのんでいません。リスパダール液が1日4本出ていますが、1本も飲んでいません。でも主治医にそのことが言えません。・時々猛烈に死にたくなります。実際に首をつって意識を失い、床に倒れ込んでいたことがあります。自分の病気がなんなのかカチッとはまるものがほしいです。


林: 
「精神病レベルのうつ病」と言われていますが、統合失調症ではないでしょうか。

これがご質問の主旨ですが、「精神病レベルのうつ病」と「統合失調症」に、事実上は大きな差はありません。おそらく質問者の心の中には、統合失調症のほうがうつ病より重い病気だという前提があると思われますが、それは一概には言えません。精神病レベルのうつ病は、統合失調症より重いことはしばしばあります。

それはともかくとして、この質問者の病名はやはり統合失調症だと思います。

統合失調症ではないとはっきりと言われています。その理由は長い間ドグマチールだけで安定していたからだそうです。

という説明を受けているとのことですが、そんなことは統合失調症を否定する根拠にはなりません。
精神病レベルのうつ病(正式には「精神病症状を伴ううつ病」といいます)というからには、幻覚や妄想が出ている時期に、必ずうつの症状を伴っていることが診断の条件です。この【2337】の記載を読む限り、そうでないと考えられますので、うつ病とは言えません。統合失調症が最も考えられる病名です。
なお、

自分の病気がなんなのかカチッとはまるものがほしいです。

とのことですが、精神科の病名は、本人にとって納得できるものになるとは限りません。納得できる病名を告げてくれる医師を、患者の側からすると信頼しがちですが、それは大きな間違いです。

(2013.1.5.)


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