精神科Q&A

【2313】夫のアルコール問題


Q: 主人は31歳、私23歳、子供は4歳と2歳の兄弟です。結婚当初から主人の両親と同居しています(義父母ともに57歳)。義母は15年程前からアルコール依存症、統合失調症などで通院や入院をしており、統合失調症の方は再発を2度繰り返しています。 主人には6歳年下の妹がいます。義母は外国人で、義父母の関係は主人が小さい頃から悪かったようです。そのうちお互い不倫を繰り返し、別居。まだ幼かった妹は自分の意思で義母と義母の恋人と生活をするように。主人は当時15歳でしたが、家を出て働き始めました。その頃から義母はアルコール依存症となり、義妹はしばらくしてから義父の元で暮らすようになりました。義父は娘である義妹の事は小さい頃から溺愛していたようですが、主人にはいつも酷い態度で、その頃も「娘と2人で暮らすから絶縁してほしい。母親の事ももう知らない」と突き放されたそうです(この話は主人・義妹の双方から聞きました)。 ようやく病院に通い始めたのは10年ほど前。義母は保険証をもっておらず、その時の入院費や当時住んでいた家の家賃滞納・生活費等すべて主人が借金をして払ったといっていました。その後家族は共に暮らすようになり、主人も仕事をやめ10年ぶりに実家での生活。再就職を考えていた頃に義母が再発。 義父は義母の面倒をみると言えばお金のことだけで、病気の内容や看護に関してはノータッチでした。主人に対してはいつも、仕事をしろ・義母の面倒もみろ(通院や薬の管理等)と説教をし、また義妹がその頃妊娠したのですが、それすら主人のせいにしていました。 3年前にようやく仕事が再開できたものの、主人と義父の関係に疑問を抱きます。義父に気に入られようと頑張っているように見えるのです。何かあれば家族よりも義父のいう事を聞きます(ちなみに義妹はそんな事はありません)。

長くなりましたがここからが本題です。仕事を再開したあたりから主人の飲酒時の行動が変わってきました。飲酒は主人の話だと10代からしていた模様。タバコもそうだったようで、タバコの方は去年禁煙外来にいってもらいましたが、3ヶ月あまりで薬の副作用がきついという理由でやめてしましました。飲酒は毎日、500ml.缶ビールを4〜6本。日によってはウィスキーや焼酎も飲んでいるようです。 3年前様子が変わってきてからこれまでに、夜間トイレ以外の場所で用をたしたことが4度ありました。さらに、突然寝ている私を蹴飛ばしてきたこと・職場の飲み会で上司をなぐったこと・トイレで急にビーンと固まったまま倒れたこと(うめいていました)等ありました。いずれも本人は記憶にありません。 また、義父に呼び出されることがたまにあるのですが、戻ってきてからはだいたい泥酔して、とても話しかけられる状況ではなくなります。 お金はタバコとお酒に消えてしまうので生活ができず、お金や生活の話になれば離婚するだの俺が全部悪いんだろ、と悲観的なことばかり。また、お金の使い方は以前から荒かったのですが、俺が稼いだ金だといいます。そんなに金がないというならお前が働けばいいだろ、と・・。 こんな生活が3年近く続き、私も大分疲れてしまいました。病院に行って治療して欲しいと思っていますが、ちゃんと通院を続けてくれるかどうかが問題です。タバコの時のように途中でやめてしまう気がします。それに、義母がアルコール治療をしている時、抗酒薬で治療していた時のことも知っているため、できればこの薬は使いたくない(母親のようになりたくない)と本人は思っているようです。 今後どのようにやっていけばいいのかわかりません。まずは病院に行くことだと思いますが・・本人が行ってくれるかどうか。


林: ご主人はアルコール依存症だと思います。

トイレで急にビーンと固まったまま倒れたこと(うめいていました)

これはおそらくアルコール離脱症状でしょう。

義母がアルコール治療をしている時、抗酒薬で治療していた時のことも知っているため、できればこの薬は使いたくない(母親のようになりたくない)と本人は思っているようです。

「母親のようになりたくない」とは、どのようなことを指しているのか、この文章からは不明ですが、「母親のよう」とは、抗酒薬の治療の結果ではなく、アルコール依存症の症状を指しているのではないでしょうか。これは非常によくあることで、「あの人はこの薬を飲んでいた。そして、こういう状態になっていた。だから私はこの薬は飲みたくない」と言って薬を拒否するのはありがちなことですが、このような場合の多くは、「あの人」の「こういう状態」は、薬を飲んだ結果ではなく、薬を飲まなければならなかったそもそもの原因である病気の症状であるものです。ですから逆に、早く薬を飲めば、「こういう状態」になるのを避けることができた可能性のほうが高いと言えます。

まずは病院に行くことだと思いますが

その通りです。そしてアルコールをやめる以外に治療法はありません。

本人が行ってくれるかどうか

行かなければ希望はありません。

(2012.10.5.)


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