精神科Q&A

【2251】何年かおきにとても積極的になる私は躁うつ病でしょうか


Q: 私は40歳男性です。高校卒業後、公務員として勤めていましたが、25歳の時、果たせなかった大学進学の夢を叶えたい、教員免許を取りたいという思いが抑えられなくなり、思い切って仕事を辞めて夜間大学に進学しました。しかし、進学に伴う転居や転職、一人暮らしにうまく適応できず、すぐにうつ状態になって帰郷してしまいました。26歳の時、幸いにも正規職員の口が見つかり就職しましたが、ここでも仕事のストレス等から2回ほどうつ状態で休職しました。その頃から精神科に定期的に通院するようになり、医師の診断は1回目の休職時は「うつ状態」、2回目の休職時は「うつ病」でした。自分でも単にうつ病だと思っていたのですが、過去をよくよく考えてみると、10数年前から何年かおきに「大学に進学したい」「資格を取りたい」という思いが湧いてきて、実際に通信制大学に入学したり、行政書士資格の講座などを受講しましたが、すべて途中で投げ出してしまいました。最初に述べた夜間大学進学もその一環でした。その他にも市議会議員選挙に立候補したいと思い周囲に公言したり、昨年の大阪市長選挙にも真剣に立候補しようと考えて実際に供託金手続等をネットで調べていました。冷静に考えたら、今の仕事に集中するのが先決であって、大学進学や選挙立候補なんてばかげた考えですが、その時は周りの意見が耳に入らないくらい真剣なのです。そういうのは躁状態または躁うつ病と言えるのでしょうか?


林: うつ病と診断されている人が、詳しく診察すると躁うつ病(双極性障害)であることが明らかになることがしばしばある。つまり、躁うつ病であることが医師から見落とされていることが多い。最近の精神医学界ではこのように言われています。
 それ自体、その通りではありますが、今度は逆に、ほんの少し元気になったエピソードが過去にあるというだけで、躁うつ病と(誤って)診断してしまう、つまり「躁うつ病という過剰診断」も問題視されています。
しかしこの【2251】は、躁うつ病であることがかなり確実なケースといえます。すなわち、

10数年前から何年かおきに「大学に進学したい」「資格を取りたい」という思いが湧いてきて、実際に通信制大学に入学したり、行政書士資格の講座などを受講しましたが、すべて途中で投げ出してしまいました。

その他にも市議会議員選挙に立候補したいと思い周囲に公言したり、昨年の大阪市長選挙にも真剣に立候補しようと考えて実際に供託金手続等をネットで調べていました。

これらは躁状態のエピソードといってまず間違いないでしょう。
 現在の主治医の先生にこれらをお伝えし、躁うつ病としての治療を開始していただくことをお勧めします。

(2012.6.5.)


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