精神科Q&A

【2200】うつ病は治ったはずなのですが、陰口を叩かれているような気がします


Q: 私は20代女性です。私は、高校2年の二学期頃から「私なんていないほうがいい」「信号無視したり、左右確認しないで道路に出たら私をひき殺してはくれないだろうか」と思うようになりました。また、当時のクラスの友達と話すことすら苦痛に感じ、休み時間は寝て過ごすようになりました。そのうち、本当に死んでしまいたくなり、薬局で風邪薬を一箱買い、一気飲みして眠りました。幸いにして、重症になる事無く目覚め、風邪薬のことが家族に発覚して精神科に行き、うつ病と診断されました。以後一年間、治療を受け、18歳の4月にはほぼよくなり、通院を取り止めました。 ですが、それ以来時折「みんなが陰口を叩いているのではないか」「私のいない場所では私の陰口を言っているに違いない」と思うことがあります。それだけならまだしも「そんな陰口を言われる私はやはり不要だ、いないほうがいい」「そもそも、私がいなければ母は身軽なんだ」「どう死ねば、家族が遺体を処理しやすいだろう」「私が死んで、私を悪く言っていた奴らがショックを受ければいい」「いや、自殺したら母は悲しむ、駄目だ」とそんな事ばかり考える日が数日続きます。陰口を言われているのなんて考えすぎだ、と考えないようにしていたのですが、最近職場の友人から、同じ職場のおばさんたちに私が生意気だと言われているらしいと聞いて以来、みんなが言っているような気がしています。こんな私はこれ以上迷惑をかける前に死んでしまったほうがいいと思えてきます。 私は、ただ思い込みが激しいだけなのでしょうか。それとも、治ったはずのうつ病はまだ治りきってなかったのでしょうか。


林: 当初うつ病と診断され、その後、被害妄想が出てくる。これは統合失調症の発症の典型的なパターンといえます。但し、うつ病でもある程度の被害妄想が出ることはあります。この【2200】のケースの

「みんなが陰口を叩いているのではないか」「私のいない場所では私の陰口を言っているに違いない」と思うことがあります。

という体験は、これだけでは統合失調症とはいえないものです。(だからといって、統合失調症でないともいえません)
しかし病名は何であれ、

こんな私はこれ以上迷惑をかける前に死んでしまったほうがいいと思えてきます。

という状態である以上、精神科での治療は必要です。

さかのぼって、

18歳の4月にはほぼよくなり、通院を取り止めました。 ですが、それ以来時折「みんなが陰口を叩いているのではないか」「私のいない場所では私の陰口を言っているに違いない」と思うことがあります。

上記の「それ以来」が、4月のほぼよくなった直後ないしはそのころと重なっているのか、それともほぼよくなってからしばらくしてなのかも重要な点です。もし「4月のほぼよくなった直後ないしはそのころと重なっている」であれば、この時点でほぼよくなったとはいえず、通院中断すべきでなかったといえます。このあたりの事情が不明なので何ともいえない点はありますが、現在の質問者の状態は、精神科での治療を要することは確かです。


(2012.2.5.)


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