精神科Q&A

【2186】一人目の先生からは「心因性の精神病」、二人目の先生からは「統合失調症」、三人目の先生からは「現代の医学では統合失調症」と診断されました。どれが正しいのでしょうか。


Q: 私は精神科に通院して2年になる30代の女です。 (妹の付き添いで通院を始めました)2年間同じ病院なのですが今の先生は三人目で、最初の先生は「心因性の精神病」とおっしゃいました。診察での会話の内容に筋が通っていて、また幻覚を幻覚と認識していること、幻覚は数秒で消えることなどから、統合失調症とは違う様に思うと言う事でした。ドグマチールを処方されましたが精神的な症状が改善せず、二人目の先生に変わりました。二人目の先生は、すぐ薬をセロクエルに変え、それを飲み続けているとだいたい半年くらいで眠れるようになり、精神的な不安などもなく仕事も順調に勤務出来るようになりました。それで、いつくらいまで通院すればいいか目安を聞いてみたところ、病名は統合失調症だとおっしゃいました。一人目の先生は統合失調症ではないようなお話だったので驚きました。 二人目の先生に質問したところ、Q統合失調症の人に仕事(接客業)が勤まるのか?A私のように予後の良い人は普通に生活している。Qでは、どれくらいで治ったと言えるのか?A高血圧の人が薬を飲み続けるのと一緒(私は、それは治らないと言う意味なのか?と思いました) 最近、二人目の先生が病院を辞められたので三人目の先生に診てもらっていますが、病状は安定しているのでこれと言った会話もなく同じ薬を処方してもらっています。 二人目の告知された先生は、脳の病気だからもしかして(統合失調症ではない)違う病気かもしれない。でも現時点の医学で幻覚の症状がある場合、病名で当てはまるとすれば統合失調症という事になると言う説明でした。 私は(ド素人の考えで恐縮ではありますが)一人目の先生がおっしゃたように、事理を弁識する能力があり意思疎通ができています。妄想などは一切なく、幻覚を幻覚と認識出来ています(何故幻覚と自覚できるかというと、最初は驚きますが目の前で幻視が消える事や幻視、幻聴が周りの人には見えていないようだという客観的事実から私だけに見えたり聞こえていると分かる)
話が前後してしまいましたが病院に通う前の具体的な症状をあげます。 幻視(電柱の上に人が腰掛けている、部屋の真ん中に風船が浮いている、等)幻聴(誰かの歌う声や話かける声がする、頭の中で複数の人物が会話している等)くどいですが、それを真に受けて現実のもののように騒ぐ事はありません。 外を歩いていたはずが気付いたら家の風呂でシャワーを浴びていた(二人目の先生は意識のない内に交通事故にでもあったら大変だとおっしゃってました) 死ぬつもりなどは全くないが、電車に向かって歩いていた、飛び降りると死ぬと分かっているが窓から飛び出したくて堪らない等(そのような行動をとると死んでしまうと分かっています) 後は、涙が止まらない、眠れない、嘔吐や頭痛と言った身体的な症状で仕事に支障をきたし受診しました。 関係ないかもしれませんが、10才くらいの時、野原に火をつけ原野火災を起こし、14才のとき老婆の幽霊を見ました。高校生になると複数人の会話が聞こえ20才頃、虫などの幻視がありました。(二人目の先生はもしかしたら若い頃から発症してたのかもとおっしゃってました)しかし、一貫して幻覚の自覚があります。 ドグマチールでなんの改善もなかった症状がセロクエルにしたとたん症状が落ち着いたという事実からやはり精神病なのだろうかとも思います。 薬を飲み忘れると全く眠れません。統合失調症だけど薬のおかげで予後が良く、順調に推移していると言うことでしょうか? 私としては服薬で日常を穏やかに過ごせれば、病名などどうでもいいと思っているので統合失調症で間違いなくても構わないのですが、一人目の先生と二人目の先生の判断が違うように感じた事と、自分の症状を客観的に自覚していても統合失調症であるのか。(Q&Aの統合失調症の方は妄想を現実と思い込んで異常な言動をしている様なので私の場合と違うように思いました) 林先生のご意見を伺いたくメールさせて頂きました。長文になってしまい申し訳ありません。お忙しい中、読んで頂きましてありがとうございます。


林: 質問者自身が洞察しておられるように、統合失調症に似た症状はあるものの、統合失調症とは違う点もかなりあります。考えられる診断名は解離性障害で、どちらかというと統合失調症より解離性障害の可能性のほうが高そうですが、確信は持てません。

私としては服薬で日常を穏やかに過ごせれば、病名などどうでもいいと思っているので統合失調症で間違いなくても構わない

むしろそのようなお気持ちで、通院を続けるのが、現時点では最善だと思います。今後、統合失調症の症状がもしはっきりしてくれば、それなりの薬物療法が必要ですが、現時点では何ともいえませんので、医師の立場からすれば、「慎重に経過観察」ということになるでしょう。

(2012.1.5.)


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