精神科Q&A

【2042】ふと浮かんだ些細な疑問から、パニックになってしまう


Q: 20代女性です。精神病院に行くかどうか悩んでいるのですがそもそもこれが精神病なのかどうかの決心がつかず、ここにメールをしました。利用規約(「精神科Q&Aに質問される方へ」のページ)は読んで理解しているつもりです。症状を言う前に、この状態にいるまでを書きたいと思います。
昔、お腹が痛い時など「どのように痛いのか」「どんな風に痛いのか」「ズキズキ痛いとはどういうことなのか」「本当に痛いのか」などと、感覚や神経に対して追求を続けていくと、何だか痛いのか痛くないのか分からなくなるということに気づきました。小学校一、二年の時です。 それ以来怪我したり熱を出すたびにそう考え深く自分で追求していくようになりました。 どういう状態だったのかはもう思い出せませんが、ある日いつものように「どのように」「どんな」を追求していった時のことです。 何故なのか全く不明なのですが「目で見えるとはどういうことなのか」と考え出してしまったのです。 目に見える、意識するとはどういうことなのか。それを考え続けていた時にふと「私って――」という考えをしてしまった瞬間、何だか物凄い恐怖のようなものを感じました。 それ以来というものの、ふとした時に「本当に自分って誰なのか」「私の意識なんて本当に存在するのか」「私とは誰なのか」と考えるようになってしまったのです。そうなるとパニック状態になってしまいます。「自分がブレる」んです。自分がいなくなってしまうんです。自分が他人なんです。 忘れるために人に話しかけたり、どうでもいい質問をしたり。文字を読んだり、歩き回ったりという行為をしてきました。最近は、それすら効かなくなって来ています。気が狂ったほうがマシなんじゃないかという考えすらあります。 これは精神病(統合失調症?)なのでしょうか。治す手立てや、この意識を忘却する事は可能なのでしょうか。 長々と失礼しました。返答を待っています。


林: 「私とは誰なのか」をはじめとする、質問文にあるようないわば哲学的な疑問を、若い年齢のときに深く追究することは、健康な人にでも十分あることですので、これだけで統合失調症であるという疑いをかけることはできません。
 しかし逆に、統合失調症の前駆症状として、哲学的な思索にのめりこむことはあり得ます。特に、それまで哲学的なことに全く興味などなかった人が、急にそのような状態になったときは、統合失調症の発症かもしれないと考える必要性が出てきます。そのようなケースでは、たとえば被害妄想的な過敏さなどの症状があることが確認できれば、統合失調症のごく初期や前駆期という疑いはかなり強いということになります。

この【2042】のケースはそれにはあたりません。が、

最近は、それすら効かなくなって来ています。気が狂ったほうがマシなんじゃないかという考えすらあります。

というように、程度が強くなっているのは気になるところではあります。精神科を受診して診断していただく意味はあると思います。


◇ ◇ ◇

この【2042】は偽陽性の可能性が高いケースといえますが、ご本人の苦悩が強ければ、精神科を受診する意味は十分にあります。当然のことですが、統合失調症以外にも、精神科の診断・治療の必要がある病気はたくさんあるからです。


【2000】から【2078】までの回答は一連の流れになっています。【2000】、【2001】、・・・【2078】の順にお読みください。


(2011.6.5.)


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