精神科Q&A

【1917】私が刃物で自傷行為をする原因は心の傷ですが、思い出したくありません


Q: 私は28歳の女です。
13、4歳〜20歳前後まで 頻繁な自傷行為がありました。20歳以降はごく時折発作的に行うかんじです。主に身体を刃物で切りつけます。  自傷行為の始まりは、いじめでしたが、幼少から色々と心の傷になるような事があったため、いじめはきっかけに過ぎないかもしれません。(心の傷の内容に関しては思い出そうとすると吐き気がしたり、もやもやして解らなくなるので記載は控えさせて下さい。) 世の中で痛みだけが真実である、自分を罰さないといけない、というのが自傷行為をしていた頃の心情でした。かまってほしいから…というような理由ではなかったので必死に傷跡は隠し続けました。自分からその事を話す事も一切ありませんでした。
 私は、自分で話すのもおかしいかもしれませんが、容姿はかなり整っている方で、男性には必ずチヤホヤされ、仕事場でも望んでいないのに協力され優遇されます。女性からも妬まれる事はなく、寧ろ崇拝されたり、私と仲良くするのがステイタスのように扱われます。独特の雰囲気があるといわれ、男女問わず神聖視される事が多く戸惑います。 誉められると、嬉しいけど複雑になります。 他人から云われる事は、感受性が強すぎる(胸に響く様な映画や本をみると、3〜4日その切なさや胸の痛みがとれず苦しいままです)、容姿と中身が違いすぎる(私は建前が云えず思った事をいいます。勿論人を傷つける事以外ですが。それと媚びを売る愛想を振りまくといった事ができません。)、自己犠牲精神が強すぎる(困っている人に相談される事が頻繁で、必ず依存されます。悲しい事ですが私自身は他人を全然信じられないので共依存にはなりません。周りの人から逆に大丈夫なの?と心配されますが平気)です。 私はあまり他人に心を開かないので、逆に興味をそそってしまうようで、男性に「君が壊れたところをみたい」「壊したい」等と云われることが多く、自分の容姿に関して逆に劣等感が募っていきました。自己評価はかなり低いです。

前置きが長くなりましたが、ここから本題に入ります。
以前におさまったりしていた自傷行為が、完全に復活し常習化し、生命の危機を感じているのです。再発のきっかけは解りません。 以前は、生きる為…というか、正気でいる為、頭が狂わないように、身体を傷つけて保っていた感じでした。 現在は、やりたくないのに半ば強迫観念的にやっています。 これ以上傷を増やしたくないし、どうしていいのか解りませんし、睡眠障害も出ています。 ほぼ寝ないか、朝方少し寝付いて1〜2時間位したら目が覚めるかんじです。 現在の自分の環境は、両親と同居です。家庭内での問題はありません。
自傷行為中、錯乱等は無く淡々と切り、妄想、幻聴などもなく、精神科にかかったことはありません。服薬もありません。 以前、衰弱した身をまかせた医師の方にセクハラ行為をされ、救っていただける医療への信頼は砕けちり、病院、医師にかかる事を避けていました。(勿論そういった方は例外だと分かってはいるのですが) ですが今回、これ以上の自傷行為は 出血等を考えても辞めたいので、必要であれば、通院も考えています。 私は自分で気が付かなかっただけで何かの病気なのでしょうか? 他人を信じられない私がカウンセリングで心を開き上手く話せるかも心配です。


林: 現在の自傷行為には、

幼少から色々と心の傷になるような事があった

これが関連している可能性があります。
質問者の自傷はかなり頻繁のようでもあり、精神科を受診すべきです。

他人を信じられない私がカウンセリングで心を開き上手く話せるかも心配です。

最初から上手く話せる人はいませんし、上手く話す必要は全くありませんので、その心配はありません。
また、

心の傷の内容に関しては思い出そうとすると吐き気がしたり、もやもやして解らなくなるので記載は控えさせて下さい。

この過去の心の傷についても、カウンセリングでは、最初から話す必要はなく、結局はそれを話さなくても回復することも期待できます。
受診する前にあれこれ考えるより、まずは受診してみることをお勧めします。
ひとつだけ事前に注意すべきこととしては、受診してみてたとえ信頼できないとかあまり意味がないとか感じても、一定期間はその先生の治療を受け続けることが、この【1917】の質問者のようなケースでは大切です。


◇ ◇ ◇

【1901】から【1948】までの回答は一連の流れになっています。【1901】、【1902】・・・【1948】という順にお読みください。

過去の心の傷について、それを書く・話すなど表現するととてもつらくなるので、他人に伝えることがなかなかできない。そういうこの【1917】のようなケースも多いものです。【0952】ここで文字にすることもできないようなことがきっかけなのですが、これはPTSDでしょうかにお書きしたように、真のトラウマとは、そう気軽に口にできるようなものではないのです。
するとひとつ前の【1916】と同様、現在の症状に関連ありと思われる過去の出来事が、本人以外にはよくわからないという事態が発生し、治療を始めてもそれがずっと続くこともあります。
さらに注意すべきことは、

 自傷行為の始まりは、いじめでしたが、幼少から色々と心の傷になるような事があったため、いじめはきっかけに過ぎないかもしれません。

という文章からは、まず今は言えない「心の傷」があって、そこにいじめが加わった、そのような経過が今の自傷行為の成り立ちであると本人は確信していますが、客観的にはそれはわからないということです。それは本人が語らないということもありますが、語ったとしてもそれが本当に原因かどうか、さらには、それ(本人のいう心の傷となった出来事)が本当にあった事実なのかもわからないことが少なくないのです。


(2011.1.5.)


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