精神科Q&A

【1891】統合失調症の弟の病状が、薬を減らしたら悪くなってきました


Q: 34歳(独身)の弟は統合失調症で治療中です。ちなみに母の妹も重い統合失調症でもう22年精神病院で暮らしています。 今から思えば、大学時代親元から離れ東京の大学+専門学校に通い始めた20歳頃から、私におかしな恋愛相談(妄想)の長電話をしょっちゅうかけてきていました。でもその頃は私も両親もそれをおかしいとは思わずに過ぎ、大学卒業後、割と几帳面だった弟のごみ屋敷のようになったアパートを引き払って実家(岡山)へ戻りそのまま資格取得のために専門学校へ通っていました。その頃は、毎日ソワソワして落ち着かず、洗面所へ行っては手を洗って部屋をウロウロ。モヤモヤすると言い、髪をはさみで切ったりしていました。専門学校やバイト先を次々変わり、おかしなことや独り言を口にしたり、何かを払いのける仕草するように。『専門学校の受付のやつらは裏でつながってる』『あそこのタバコ屋のオヤジはスパイで俺を見張ってる。』『家庭教師先の親が自分の情報を漏らしてる』等・・・その時々で、父や私がスパイになったり、バイト先でもめて話がこじれたり。何故か母のことを敵扱いしたことはありませんが、母は妹がこの病気であったにもかかわらず息子の病気に気付かなかったことと心労で、自分自身もうつ病とパニック障害になってしまいました。 
弟が治療を開始してからの経緯です。
X年4月、30歳の頃、嫌がる弟を母が何とか病院に連れていき最初に心療内科。そこから精神科を紹介され、始めはセロクエル(100ミリ×1錠、25ミリ×1錠)を服用開始。 X年12月 転院し、セロクエル(100ミリ×6錠)に。症状は落ち着いたかと思うと、半年に1度くらいで突然激しい妄想や幻覚が始まり、1〜2週間ほどで落ち着くという繰り返し。それでも資格の勉強は続ける。 X+1年2月環境を変えるため(家の周りはスパイだらけだという妄想は消えないため)両親の実家(宮崎)へ両親と弟は引越し。引越ししてから4ヶ月ほどは、驚くほど調子が良く、治ったのではないかと疑うほどだったとのこと。が、5ヶ月目に私が子供を連れて実家(宮崎)へ2週間ほど遊びに行った時に、それがストレスとなってしまったのか、また突然妄想開始。私はスパイ扱いされ、すぐに帰れとののしられてしまう。
X+1年11月資格試験に合格。資格を生かすためどうしても大阪の法人に入りたいと、反対を押し切って大阪で1人暮らしを始める。両親は不安なようでしたが、私の住む沿線上に住むことを条件に大阪で就職。
X+1年12月新しい病院で(母同行)今までと同様セロクエル(100ミリ×6錠)を処方。始めは3週間に1度の通院。慣れてきたので、4週間に1度の通院。念願の資格を取って就職したせいか、症状は思ったよりも良い状態に。私が同じ沿線上に住んでいるので、時々それとなく様子を見に行ったり、母が3ヶ月に1度くらい訪問。
X+2年11月、初めて自分から、不安なので母にしばらく来て欲しいと依頼。母が1ヶ月ほど同居するも、それほど不安定ではなく、いつもは拒否する通院も一緒に来ても良いと言う。 
X+3年1月の通院時、先生から『統合失調症ではないかも』という不用意な驚きの発言をされ、弟はとても混乱し、両親ともども先生に不信感。それに対する対応もこちらが納得する説明や態度ではなく、転院を考えるも、仕事と診療時間などの都合であきらめる。今まで4人もの先生に診て貰っていただいたし、家族からみて過去の症状は完全に統合失調症に間違いないと思いますが・・・。
X+3年2月弟と先生で話し合いセロクエルを1錠減らす(100ミリ×5錠)。X+3年3月また1錠減らす(100ミリ×4錠)。X+3年4月また1錠減らす(100ミリ×3錠)。これ以上は不安なので、3錠までにして欲しいと本人が話をしたとのこと。 
母は、薬を減らしていき3錠くらいを生涯飲み続けることになる可能性を先生からも聞いていたし、納得していたが、それはとても慎重に実施されることであって、せめて半年に1度くらいの割合で1錠ずつ減らしてもらえると思っていたようです。そして4月に1ヶ月近く風邪を引き(母の病状記録によると、風邪が長引くと症状が出やすくなる)仕事でミスをしたようで、おそらくそれがきっかけで、今かなり体調を崩しています。 驚いた母が実家からかけつけ、今1週間ほど様子を見ています。かなり痩せ、ほとんど食事を取れていなかったようで、何とか食事をさせようとしていますが、あまり食欲がないようです。睡眠も浅くて短く、早くに目が覚めるようなので、母が1錠増やすようにアドバイスしても、聞き入れないようです。薬のことや病気のことを言うと、とても嫌がり怒りだすそうです。仕事には何とか行っていますが、朝から『疲れた』と言い、帰ってきてからも疲れきっているけれどウロウロと落ち着きがなく、仕事に行きたくない様子です。これはまた症状が悪くなる前兆ですよね? 母が言うには、今まで何度か診察に同行したとき、弟は必ず絶対に『すごく調子がいいです。』としか言わず、不利になることは母にも言わせないそうです。5月下旬の次回の診察に母が同行することは完全に拒否するだろうと予測できるため、先生に状況をお話することも出来ず、どうしたらいいのか・・・。 でも統合失調症患者の自己申告を専門家が真に受けるとは信じられず、急激に薬を減らした今の先生で大丈夫なのかどうかも、家族として非常に不安があります。そのあたりもどう思われますでしょうか? 長文になりまして、大変申し訳ありません。せっかく調子がよくなりかけていたので、またこれから悪化してしまうのかと思うと、とても不安で、家族がどこに相談していいのかもわからず・・・。


林: 不用意な減薬による、統合失調症の悪化です。

X+3年1月の通院時、先生から『統合失調症ではないかも』という不用意な驚きの発言をされ、弟はとても混乱し、両親ともども先生に不信感。

状況や文脈がわかりませんので、これが不信に値する発言であったかどうかはわかりません。けれども、この医師の判断による減薬が現在の悪化を招いたことは間違いありません。

母が1錠増やすようにアドバイスしても、聞き入れないようです。薬のことや病気のことを言うと、とても嫌がり怒りだすそうです。

服薬で安定していた統合失調症が、薬を飲まなくなったり減らしたりすることによりいったん悪化すると、このように薬を拒否するようになるのはごく普通のことです。精神科Q&Aにもその実例はたくさんあります。

仕事には何とか行っていますが、朝から『疲れた』と言い、帰ってきてからも疲れきっているけれどウロウロと落ち着きがなく、仕事に行きたくない様子です。これはまた症状が悪くなる前兆ですよね?

その通りです。今後、ますます悪化していくことは確実です。

でも統合失調症患者の自己申告を専門家が真に受けるとは信じられず、急激に薬を減らした今の先生で大丈夫なのかどうかも、家族として非常に不安があります。そのあたりもどう思われますでしょうか? 

その不安は当然です。

せっかく調子がよくなりかけていたので、またこれから悪化してしまうのかと思うと、とても不安で、家族がどこに相談していいのかもわからず・・・。

そのご心配もよく理解できます。が、ネットで私などに相談しても何もなりません。現実の医師に相談してください。

(2010.12.5.)


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