精神科Q&A

【1755】16 歳の弟が「もう永遠に眠りたい」と書いていた


Q: 私は22歳で教員をしています。今年高校2年になった弟のことでの相談です。 事が明らかになったのは、高校2年生になってから、1週間後のテストの日に、朝から学校に行くふりをして行方不明になりました。夕方頃帰ってきたのですが、様子がおかしかったのです。母が弟の部屋のゴミ箱から日記のようなものを見つけました。「(前略)・・そんないつも一人の孤独っていう悲しみと辛さと悔しさと並行して勉強するくらいなら生きる意味ないじゃないのか」「私ができる最上のことは・思考と感情を神と破調を合わせること・最上の努力で行動すること4月中に満足できなかったら、私は生命を絶つ」 担任の先生と特別に時間をとって、話をきいてもらい、1週間休んだ後、今週の月曜からはがんばって学校にいっているようです。
振り返ってみますと弟は、高校に進学してから、私から見て(聞いて)変化がありました。
・ いきなり成績が落ち、今は学校の課題も全く手をつけない。
・ 宗教の本を読み、部屋中に本の言葉を貼っている。
・ お祈りをすることで、自分を統一しようとしている。
・ 風呂に1時間半以上入る。
・ 体育の時間(柔道)の時間に声を出せずに、ずっと隅に立っていた。(担任の先生からの話)
・ 部活動をやめる
・ 塾にいこうとしたが、説明面談に行かずに行かなかった。 

弟は幼いころから内向的で、あまり友達も多くありませんでした。中学生のときもかばんに泥が入っていたり、いじめを受けていたのかもしれません。そのときはあまり家族で干渉することはありませんでした。優しい性格で、年下のいとこの面倒などはよくみていました。 母が大学のカウンセラーや相談機関に相談をしにいきましたが、本人を連れてこないとなんともいえないと言われ、でも、本人は「行きたくない」というので悩んでいます。 母は今日、図書館でいろいろと調べたそうです。もしかしたら統合失調症なのではないかと。 でも、そんな病気の感じがあまりしません。私がわかっていないだけだと思うのですが、その可能性はありますでしょうか? 今日、このようなことを紙に書いていたようです。「もう永遠に眠りたい」。これは自殺の危険もあるとみたほうがいいのでしょうか。


林: 箇条書きでお伝えいただいた内容は、いずれも、統合失調症の発症を疑わせるものです。もちろんこれだけで診断を確定することはできませんが、そうはいってもこの内容は、統合失調症発症のサインとしてはかなり典型的なもので、病気の疑いは濃厚です。

母は今日、図書館でいろいろと調べたそうです。もしかしたら統合失調症なのではないかと。

正しい結論です。いかに図書館で調べられたとはいえ、これだけの症状から統合失調症の可能性に思い当たるのは、お母様に相当な洞察力があるか、または、弟さんにはもっと重要なサインがあってそれがこのメールに書かれていないのかのどちらかだと思います。

でも、そんな病気の感じがあまりしません。

あなたのその「感じ」には根拠がありません。あなたは統合失調症について一体どれだけのことを知っておられるのでしょうか。そもそもあなたの「そんな病気の感じがあまりしません」という判断は、統合失調症についての知識に基づいたものなのでしょうか。弟さんが統合失調症という精神病であってほしくない。おそらくそれがあなたの願望であって、その願望があなたに不合理な判断をさせているのだと思います。そして、特に統合失調症においては、願望にすがって現実から目をそむける姿勢は、取り返しのつかない帰結を招くことが少なくありません。

私がわかっていないだけだと思うのですが、

その通りです。あなたがわかっていないだけです。

今日、このようなことを紙に書いていたようです。「もう永遠に眠りたい」。これは自殺の危険もあるとみたほうがいいのでしょうか。

自殺の危険はあります。それが上記、「取り返しのつかない帰結」です。統合失調症の初期は、特に自殺の率は高いものです。【0688】などをご参照ください。
 弟さんのために、一日も早く精神科を受診させてあげてください。



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