精神科Q&A

【1748】夫が会社を休むのはうつ病のサインではないでしょうか


Q: 夫は30代後半の会社員です。最近、胃がもたれるという症状があり、胃内視鏡検査をしました。結果は異常なしで胃薬が処方され、症状は改善傾向にあるそうです。しかし、私にはこれが主人のうつ病のサインに思えるのです。その理由を以下にあげます。
 結婚前に彼は不明熱から慢性疲労症候群と診断され、入院してリラクゼーションなどの治療を受けたことがあります。内服治療はしていません。全快して仕事復帰しました。しかし、実は私には言わずに、会社を休みがちで精神科にも通院してデパスを処方されていました。隠し事を抱えていてそれが原因だったようです。私がそれに気づき、隠し事は解決して、会社にも行くようになり、安定した生活を送れるようになりました。そのため、最近までは隠し事の他にもうつ病などが潜んでいたとは疑っていませんでした。
 しかし、気になるのが、ちょくちょく仕事を休むことです。私から見ると大したことのない「頭痛い」「気持ち悪い」「風邪ひいた」などの理由です。休むと家ではインターネットをしたり、体調が悪そうにはしていません。月曜日に休むことが多いように思います。問いただすと、「風邪だよ」「会社の人もみな、これくらいは休むことがあるよ」と答えます。勤続15年で3回程度しか風邪などで休んだことのない私には信じられません。夜眠れないということはないようです。しかし眠りは浅いように思えます。
 私は仕事のストレスから涙がとまらず、何もかもが嫌になり、走っている車に吸い込まれそうな気分になったことがあります。そのころは「うつ病」または「うつっぱかった」と思います。しかし、主人にはそのような気持ちの弱さや感情の起伏は感じられません。結婚前の隠し事も未だにはっきりとは言えないほど、黙っていられるタイプです。私なら恥ずかしいから黙っていたいことでも、話さずにはいられないでしょう。

 この情報だけで判断するのは先生も難しいと思います。
 会社を休むことがあるだけでうつ病を疑うのは考えすぎでしょうか?
 それともうつ病を疑い、受診を勧めるべきでしょうか?
 もしも主人がうつ病だとしたら、落ち込んだり、泣いたりしないのは、性格によるものなのでしょうか?それとも男性と女性の違いでしょうか?
 先生の見解をお聞かせいただけましたら幸いです。


林: この【1748】のケースの情報は、

・ 最近、胃がもたれるという症状があったが、胃の検査は異常なかった。
・ 月曜日に、妻から見るとたいしたことのない理由でよく会社を休む。休んでも家ではネットなどをしており、特に具合が悪そうにない。
・ かつて、慢性疲労症候群で入院治療を受け全快したことがある。

以上のみですので、質問者がおっしゃるように、これだけの情報でうつ病かどうかわかるはずがありません。
しかしそこをあえて判断するとすれば、上記のうち、現在の時点では「たいしたことがないのによく会社を休む」のみですので、【1749】【1750】のような擬態うつ病が最も考えられるでしょう。
一方で、うつ病のごく初期のサインの可能性をもちろん否定することはできません。
うつ病かどうかについては、休むことについての本人の考え方や姿勢がひとつの判断材料にはなるでしょう。念のため今の時点で精神科を受診するという方法も考えられますが、擬態うつ病への流れを助長するおそれがありますので、どちらかといえば受診はお勧めできません。慎重に経過を見ていただくのが現時点の現実的な対応だと思います。



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