精神科Q&A

【1672】認知症と思われる義母・・・でも義父は、それはうつ病の症状だと言います


Q: 私は30代女性で、相談は68歳の義母の件です。義父母とは近々同居する予定なのですが、義母に半年ほど前から認知症ではないかと思われる症状があった(今いる場所を別の場所にいると思っていたり、義母が楽しみにしていたはずの引越しを「引越しするの?知らなかった」と言ったり、うつむいてぼーっとしていたり)ので、引越しで環境が変わったら悪くなるのではと思い、病院でお医者様の指示を仰ごうと義父に相談したところ、義父は「認知症ではなくうつ病で、認知症のような症状が出ているだけだ」と言うのです。いわく「20数年前にうつ病になり、幻覚?(誰かが自分を見ている)や被害妄想が出たので2ヵ月入院した。今も季節の変わり目や、不慣れな場所に行くと少し調子が悪くなるけれど、2ヵ月に一度病院に通い、薬をもらっている。だから大丈夫だ。」と。私たち夫婦には大丈夫とは思えないので、やはり病院に同行し、先生に聞いてみようと思っているのですが、義母は来てほしくないようで、電話で「大丈夫だから来ないでくれ」と繰り返します。主人は義母が昔発病したことは覚えていますが、入院が長期にわたったことや、その後通院し続けていたことは知らなかったようです。うつ病で、こんなに長い間通院するものでしょうか? 認知症か統合失調症ではないかと思ってしまうのですが…。またこのような場合、引越しして大丈夫なのでしょうか。どうかご回答よろしくお願いいたします。


林: お義母さまの診断名としてもっとも考えられるのは認知症です。一方、高齢者のうつ病は認知症と区別がつきにくいこともありますので、うつ病の可能性も考えに入れる必要があることはあります。うつ病で長く通院することもありうることです。しかしこのケースの症状からは、殊更にうつ病に違いないと考える根拠はありません。

義父は「認知症ではなくうつ病で、認知症のような症状が出ているだけだ」と言うのです。

このお義父さまの意見には根拠がありません。単なる願望にすぎません。

「20数年前にうつ病になり、幻覚?(誰かが自分を見ている)や被害妄想が出たので2ヵ月入院した。今も季節の変わり目や、不慣れな場所に行くと少し調子が悪くなるけれど、2ヵ月に一度病院に通い、薬をもらっている。だから大丈夫だ。」

この説明は、「大丈夫」の根拠にはならず、全く非論理的です。

通院先の病院に、お義父様以外の方が同行し、医師によく説明を聞き、また、お義母さまの家庭での様子を医師によく説明することが、いま第一にすべきことだと思います。


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