精神科Q&A

【1628】一年間の入院を終えた父が躁状態になって帰って来た


Q: 私の父はとても大人しく、役所でもとても優しい良い人と評判で、退職するまで人に意見なんて一度もした事も無いような人でした。 しかし、50歳前半に胃ガンの手術をしてから、再発の恐れからか体調不調を訴え、内科的には何にも問題ないとの事でうつ病と診断され抗うつ薬を大量に飲み出しました。しかし鬱と言うか、とにかく頭痛と疲れだけを訴えていたので、自宅療養出来るはず、と言われ、退院してはまた家では辛くなり入院したりしてそれを9年近く繰り返しました。最終的には、かかりつけの病院からは入院の必要は無い!と言われ父はどうしても入院したいからと近所の精神病院に頼み込み1年近く入院していました。そして戻ってきたのですが、今までに見た事もない行動力、それだけなら良いのですが、暴言が酷く、親戚で集まった時も周りを中傷したり・・・・。信じられない父になっていました。その反面、父に従ったり、話を聞いてあげたりするとその人の世話を一生懸命したりべた褒めしたり・・・・。本人に躁状態になってないか?と聞くと激怒!家族だけで病院に相談に行き父の症状を話しました。役所に政治のあり方を投稿にそれに対して返事が来ないとしつこく電話したり役所の人が投稿に関して話し合いに来ても激怒してばかり。母や姉にもすぐに激怒する。暴力までには行かないけど。とにかくテンションが凄いと。すると先生は、病院でも退院まえ2ヶ月からそうなったみたいで何となく解っていたみたいです。そして先生の意見は、躁うつ病ではなく今飲んでいるパキシルという抗うつ薬の副作用ではないか?とそれから本人にはその薬で躁状態になっているからとは言わず(本人は元気になった!と喜んでいて一度断薬を強く断ったので)血液検査の結果、将来的身体に副作用が出るかも・・・と言いパキシルを止めてみる事になりました。しかも急に断薬。それから一週間が経ちました。 後で詳しくパキシルを調べてみたら、離脱症状が辛い薬だと・・・・。しかし一週間父に身体的不調は全然無いみたいですが離脱症状が出ない人もいるのですか? ちなみに父はパキシル10を就寝前に一錠どれくらいの期間飲んでいたか解りません。 そして母に対する攻撃性は、少し落ち着いたみたいですがそれ以外のハイテンション、親戚を中傷、行政機関の中傷は全然変わらないみたいです。本当にパキシルだけの躁状態だったのでしょうか? 断薬して一週間で優しく、物静かな父に戻るなんて事は無いとは思いますが・・・。


林: 抗うつ薬によって、イライラが高まったり、自分や他人への攻撃性が高まる(自殺や他害にもつながる)ことは、稀ながらあり得ることで、賦活症候群と呼ばれています。賦活症候群については【1439】【0900】などをご参照ください。

この【1628】のケースでは、パキシルを開始した時期と躁状態の関係など、重要な情報が欠けていますので、副作用かどうかは判断できません。躁状態の具体的な症状からは、むしろ躁うつ病の躁状態の可能性のほうが高そうです。主治医の先生が、なぜ躁うつ病でなくパキシルの副作用であると判断されたか根拠は不明です。診断までの手順として、まずはパキシルを中止してみるという方針だったのではないでしょうか。

しかし一週間父に身体的不調は全然無いみたいですが離脱症状が出ない人もいるのですか?

当然です。薬の作用には個人差があります。

本当にパキシルだけの躁状態だったのでしょうか?

わかりません。躁うつ病の可能性のほうが高いとは思いますが。


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