精神科Q&A

【1550】後遺症障害が認定されなかったので、訴訟を考えています(【1458】のその後)


Q【1458】交通事故後の高次脳機能障害の診断への疑問 で、20歳の息子についての回答をいただいた父親(40代)です。
 あれから間もなく、「高次脳機能障害及び器質性脳精神障害」という傷病名で、後遺症障害の等級認定をしたところ、いずれも却下という知らせが自賠責の後遺症障害等級機構から文書で送られて来ました。あちらが言うには、因果関係や高次脳機能障害の基準に当てはまらないとの事、その文章を見て唖然と致しました。精神科の主治医にこの事を告げると、医療で考えている高次脳機能障害及び器質性脳精神障害と司法又は認定機構で考えている高次脳機能障害及び器質性脳精神障害とでは異なる考え方であるので、今回のような結果が出たのだとのお話しでした。また、弁護士の先生とお話をした結果、異議申し立てではなく、訴訟を起こそうとの見解で一致しました。ここで先生にご質問です。現代医学での考え方と保険の等級機構の考え方とでは、このような見解の違いがあるものなのでしょうか? また、今後、私たちは、どのようにして高次脳機能障害及び器質性脳精神障害や両耳感音性難聴を立証していけばよろしいのでしょうか。先生のお考え、アドバイスのご回答が出来るのであれば、お忙しい中、大変とは思いますがどうぞ宜しくお願い致します。


林: 【1458】で回答したとおり、息子さんの今の症状は交通事故と因果関係があることはまず間違いありません。しかしこの【1550】によれば、後遺症障害とは認定されなかったとのこと。質問者(お父様)は唖然とされたとのことですが、主治医の先生がおっしゃるとおり、

医療で考えている高次脳機能障害及び器質性脳精神障害と司法又は認定機構で考えている高次脳機能障害及び器質性脳精神障害とでは異なる考え方である

というのはまさにその通りですので、このような事態になることはそう珍しいことではありません。それは決して医療と認定機構のどちらが正しいとか間違っているとかいう問題ではなく、用語の使い方や判断の基準が両者で異なっているということにすぎません。

とは言うものの、当事者としてはそんな説明で納得できるものではないでしょう。そして、ここで事故との因果関係が正式に認定されるか否かは一生にかかわる問題ですので、弁護士の先生のご意見の通り、訴訟を起こすのが最善だと思います。
さきほど私は

医療で考えている高次脳機能障害及び器質性脳精神障害と司法又は認定機構で考えている高次脳機能障害及び器質性脳精神障害とでは異なる考え方である

をその通りとお答えしましたが、厳密にはこの文章の中の「司法又は」の部分は、「その通り」とはいえません。医療と認定機構の考え方が違うのは事実ですが、司法、すなわち、裁判においてどのように判定されるかは、個々の事例によって違ってくるのは当然です。(そうではなければ裁判をする意味がありません)
 つまり、この【1550】においても、訴訟を起こせば、事故との因果関係が認定される可能性はあるということです。類似のことは、労災の訴訟などではしばしばあることです。(労働基準監督署が労災と認定しなかった事例について、裁判の結果、労災という判決が出たという事例です)

以上はあくまで可能性ではありますが、この【1550】では、裁判を起こせば原告側(つまり【1550】の質問者の側)に十分勝算があると私は思います。但し鍵は事故と症状の因果関係を証明する医学的な鑑定にかかっているでしょう。つまり、

また、今後、私たちは、どのようにして高次脳機能障害及び器質性脳精神障害や両耳感音性難聴を立証していけばよろしいのでしょうか。

そのためには信頼できる医師に鑑定をしていただくことが何より重要といえます。(そしてその信頼できる医師を見つけ依頼することが出来るかどうかは、弁護士の先生の腕にかかっているといえるでしょう)


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