精神科Q&A

非定型うつ病


この病名は1959年に提唱されたもので、うつ病の中でも特にモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)がよく効く一群で、症状としては、
・ 気分の反応性・・・良い出来事があると、気分がよくなる。
・ 身体が、鉛のおもりをつけられたように重いと感じる。
・人から拒絶されることに過敏
などを特徴としています。
さらに
・午後の抑うつ気分
・恐怖感
なども特徴であるとする見解もあります。


概括的に解説した論文として

 非定型うつ病 臨床精神医学 29: 927-934, 2000年  横山知行 著

があります。

その他、非定型うつ病についての論文は多数あり、私としては、非定型うつ病は、ひとつの疾患単位とみていいと考えています。
けれども、非定型うつ病 という名前がある意味まぎらわしいこと、診断の決め手のひとつであるMAO阻害薬への反応が日本では確認できないこと(MAO阻害薬のうち現在の日本で市販されているのはセルギリンのみで、これはMAO阻害薬の中でもMAO-B阻害薬であり、非定型うつ病によく効くとされているMAO-A阻害薬は日本では市販されていない)などから、学術上はともかく、一般の臨床でこの病名を用いることの意義は小さいというのが私の見解です。したがって【1526】の回答の通り、非定型うつ病は、うつ病の中に含めるべきだと考えています。


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