精神科Q&A

【1504】妻の躁転は抗うつ薬のせいでしょうか


Q妻がうつ病と診断され、抗うつ薬のデプロメールを約半年間服用していましたが、今から一年半前に突然躁転し、自分の親、それどころか、私の親にまで、全財産の要求などの脅迫行為の電話を朝から晩までかけ続けました。警察の生活安全課などに相談しましたが、その担当者までにも悪態をつき、罵りました。結局警察からは、本人の意思がない限り入院はできないといわれました。

その後、妻のかかりつけの病院に連れて行こうとしましたが、頑として行こうとせず、私に暴力を振るったので、(痣ができるぐらいたたかれました)仕方なく、一人で妻の病状の説明に行きました。
その結果、その先生からもらったものは、
@すぐ入院できるように診断書を発行していただいた
A躁転した場合に飲む薬として
 ・リーマス錠200
 ・レボトミン5mg をいただいた。
以上のものでした。

ただ、妻の言い分は、「デプロメールを半年飲み続けたから躁転したんだ。私はまったく悪くない。むしろ被害者だ! 薬(デプロメール)を毎日飲め飲めと言っていたあんたが一番悪い!」と怒り続け、薬を飲むことをやめ、医者に行くことを拒み続け現在に至っています。
確かに、インターネットで調べると、
 デプロメールの副作用は、最悪の場合「躁転」と 書いてあります。

去年1年間は3〜5日での間隔で躁転し、この半年は10日位の間隔で躁転しています。
そのおかげで、私は仕事もやめ、去年一年間は絶えず監視する生活をしていました。
睡眠時間も妻が完全に寝るのを見届け、妻が起きた時間には、必ず目を覚まし躁転している場合には、なだめ続けました。(私以外を攻撃することは、さすがになくなりました。)
現状は、だいぶ落ち着きつつあります。ただ、うつ病と診断された状態に近づきつつあり、心配しています。

躁時の症状としては、少しでも気に入らないことがあると、わけの分からない屁理屈を私にぶつける。
何事にも影響されやすく、例えば、2007年末の佐世保の拳銃発砲事件に影響され、警察から拳銃所持の許可をもらい、何かをするなどと、夜中3時間位に渡って駄々をこねたりします。
実際はもちろん行動には移しませんが、はっきり言って怖いです。
去年の正月の最初の躁転時は、私に対し数分単位で怒りと感謝の繰り返しでした。

鬱の症状としては、今は余りありませんが、息苦しくなって、外を歩き回る。
美容院などで息苦しくなって途中で帰ってきてしまう。
口癖が「ああ恥ずかしい。」(当時は1時間に一回位の頻度)
等です。

長々と駄文を書いてしまいましたが、質問があります。
(1) 躁転したのは、デプロメールのせいなのでしょうか?
(2) もし、デプロメールのせいだとして、服用をやめて1年以上たった今も、躁転するのはデプロメールの成分が残っているからなのでしょうか?
 (本人は全てをデプロメールのせいにしている)
(3) 3日〜10日位という短い間隔で躁転するものなのでしょうか?
(4) 本人の了解がなければ、入院させることはできないのでしょうか?
(5) 去年かかりつけの先生から頂いた診断書は封を開けると効力がなくなるのでしょうか? (まだ、中身を見ていません。)
(6) 上記のような症状で、病院にいかずに治ることは あるのでしょうか?
(7) そもそも、妻の病状は躁うつ病で間違いないのでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。


林: 
(7) そもそも、妻の病状は躁うつ病で間違いないのでしょうか?

間違いないと思います。そして、

去年1年間は3〜5日での間隔で躁転し、この半年は10日位の間隔で躁転しています。

これだけの高い頻度で躁転するということは、急速交代型(ラピッド・サイクラー rapid cycler) とも考えられます。しかし、3日とか10日とかの頻度での躁転が長い期間に渡って続くというのはきわめて例外的なことなので、はたしてこれが質問者の記載の通り躁転かどうかには疑問があります。実際にはこの期間ずっと躁状態が続いていて、それが3日とか10日くらいの間隔で悪化を繰り返しているのではないでしょうか。
いずれにせよ、診断は躁うつ病に間違いないと思います。

(1) 躁転したのは、デプロメールのせいなのでしょうか?

最初のきっかけはあるいはそうかもしれません。しかし、今の症状にはデプロメールは関係ないでしょう。躁転と抗うつ薬の関係については、躁うつ病 患者・家族を支えた実例集 のケース13をご参照ください。
なお、

確かに、インターネットで調べると、
 デプロメールの副作用は、最悪の場合「躁転」と 書いてあります。


とのことですが、これはあなたの調べたネットの情報がいい加減なものであるか、またはあなたが読み間違えているかのどちらかでしょう。デプロメールの副作用として躁転があり得ることは事実ですが、それは決して「最悪の場合」ではありません。

(2) もし、デプロメールのせいだとして、服用をやめて1年以上たった今も、躁転するのはデプロメールの成分が残っているからなのでしょうか? (本人は全てをデプロメールのせいにしている)

違います。デプロメールはもはや無関係です。
躁うつ病や統合失調症の方が、ご自分の症状を薬のせいにするのはよくあることです。

(3) 3日〜10日位という短い間隔で躁転するものなのでしょうか?

上の(7)の回答の通りです。

(4) 本人の了解がなければ、入院させることはできないのでしょうか?

そんなことはありません。医療保護入院措置入院といった制度があります。

(5) 去年かかりつけの先生から頂いた診断書は封を開けると効力がなくなるのでしょうか? (まだ、中身を見ていません。)

そんなことはありません。
しかしそれ以前に、

すぐ入院できるように診断書を発行していただいた

というのはおかしな話で、診断書があったからといってすぐ入院できるなどということは通常ありません。

(6) 上記のような症状で、病院にいかずに治ることは あるのでしょうか?

躁うつ病は、躁とうつを繰り返す病気で、いつかは自然に治まる(但し一時的)ことは期待できます。しかし、それを期待して待っていたら、躁やうつの症状で、本人が深く苦しんだり、周囲の方が対処しきれなくなるのが常ですので、「いつか」を待つことは勧められません。早く病院を受診(そして、おそらくは入院)されることをお勧めします。


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