精神科Q&A

【1442】アルコール依存症の父の自動車運転


Q:  私は20代(女)です。アルコール依存症の父(50代)のことでご相談したいことがあります。

父は15年以上前からアルコール依存症で入退院を繰り返しています。
半年前は栄養失調と貧血で倒れ、頭蓋骨を骨折しましたが一命は取り留めました。
しかし退院後も飲酒を続け、現在の症状(黄疸・足のむくみ・下痢)からすると肝硬変などの手遅れ状態ではないかと思うのです。(本人は病院で診察を受けているようですが、家族関係が壊れてしまっているので会話もなく検査結果など詳しいことは一切分かりません。)

家族としてはできるだけのことをしてきたと思いますし本人に治す意志がないならもう仕方ない、と諦めています。

ただ、そんな状態にも関わらず、本人は「定年までは」と言ってフラフラした状態で車を運転して仕事に行ったりします。
職場での様子を想像するとぞっとしますし、そんな状態で事故を起こしたり万一誰かを巻き添えにしたら、と考えると本当に恐ろしいです。

家族がやつれていくのを見るのは勿論辛いですが、それよりやはり他の人に迷惑をかけることは絶対に避けたいと思っています。

Q&Aのアルコール依存症のご家族で、諦めの境地に至ったと仰っている方もおられますが実際にはどのように本人と接していけばいいでしょうか。
病院に連れて行けない以上、何かが起こっても仕方がないと諦めるしかないのでしょうか?

何かいい対応策があれば教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。


林: お父様はアルコール依存症の末期であり、改善は望めません。
アルコール依存症は、本人がアルコールを飲むことによってのみ悪化していく進行性の慢性疾患ですから、こうなる前に何とかする方法はあったはずですが、今さらそれを言っても仕方ないでしょう。もうあきらめるしかありません。ただし、

病院に連れて行けない以上、何かが起こっても仕方がないと諦めるしかないのでしょうか?

それは起こる内容によります。この【1442】のケースは、この状態で自動車を運転しているわけですから、早晩事故を起こすことは十分に推定できます。つまり、他人を傷つける可能性が非常に大きいことは明らかです。

職場での様子を想像するとぞっとしますし、そんな状態で事故を起こしたり万一誰かを巻き添えにしたら、と考えると本当に恐ろしいです。

あえて申し上げます。そのように恐ろしがっている家族のあなたは、きわめて無責任です。事故を予防するのは、ご家族にしかできません。運転はやめさせなければいけません。それはあなたの義務です。


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