精神科Q&A

 【1374】父の妄想は脳梗塞の後遺症でしょうか


Q:  遠方に住む父68歳のことでご相談します。

父は比較的重い脳梗塞を6年前におこし、左半身の一時的な付随状態、視野の左半分の狭窄、記憶障害などがみられました。
その後、左半身不随の状態は半年から1年で治り、日常生活に不自由のない状態になりました。

ところが脳梗塞後、もの忘れがひどくなったり怒りやすくなったりするなど、精神的にも人格的にもすっかり変わってしまい、母を困らせることが数年におよびました。
2,3年前から、被害妄想が加わり、互いに無関係なはずの知人たちが一緒になって父に危害を加えようとしているというようになりました。
それは在職中の部下と最近知り合った囲碁クラブの人と以前世話になった税理士というようにまったく互いに関係のない人たちです。部下が数年来父を恨んでいて、税理士と組んで囲碁クラブにいるあいつを視察にやらせた、というような筋書きです。

明らかに異常だとは思いますが、日常的に問題はないため、放置していたところ、最近はインターネットの書き込みのなかで、自分を中傷されている、今にも訴えられる、というようなことを一日中気に病んで、母を困らせています。
自分では精神病院に行くことは絶対に嫌がるような父です。
このまま、老人だから仕方ないと放置していてよいものか、
やはり、無理にでも治療を受けさせないと悪化していくものなのか、はかりかねています。

どうぞアドバイスをお願いします。


林: この症状の原因は、【1375】と同様、脳梗塞による脳の器質障害だと思います。【1375】と違う点は、この【1374】は慢性期ですので、自然に良くなることはあまり期待できないということです。悪化するかどうかはわかりませんが、現時点でかなり問題が見られることは明らかですので、治療を開始することが必要だと思います。もし悪化すれば、治療を開始することはさらに困難になるでしょう。放置するのは問題の先送りにすぎません。


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